肩幅が狭く見える!ほっそり着付のコツ☆の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 まだ4月上旬だというのに、もうすっかり初夏のような陽気で、着物も何をきたらいいか迷ってしまう今日このごろ。単衣の登場時期が年々早くなっているわにこです。

 さて、よく「着物体型」という言葉を耳にしたことはありませんか? なで肩で、胸は控えめ(笑)、ずん胴で‥‥というイメージです。こけしちゃんみたいな体型だと、体が筒状なので、立体裁断・縫製ではない平らな布である着物がきれいに着られるというわけです。

 だから、体の凹凸に補整を入れると綺麗に着物が着られる‥‥というわけですが、着物用のブラジャーやウエスト・ヒップの補整は販売されているけれど、なで肩にする方法はない‥‥と諦めていませんか?

 着方のコツで、かなりこの肩問題が解決するんです。しかもほっそり見えます! 

 美容家のIKKOさんの着物姿の肩、するりと滑り落ちるような美しいなで肩のラインですよね。でもIKKOさんの洋服姿を見るとしっかりと肩幅があります。それを着付で美しいラインに見せているんです。

 その着付のコツとは、首から衿を離すこと。あとは衿を寝かせることです。そして半衿を多めに見せること。要するに、肩に乗っている着物の幅を狭くすることで、肩の幅が狭く見えるということです。

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 この衿を「離す」「寝かせる」ためには、結構衣紋を抜く必要があります。あまりやりすぎると品がなくなってしまうので、気をつけて。

 そして半衿を見せる幅を広くすることで着物の肩幅が狭くなります。先日先輩から衣紋抜きの幅を広くとっているという話を伺いました。それもうまく衿を寝かせる一つの手ですね!

 最近、テレビでドラマや芸能人の着物姿を見ると、肩が張っている人が多いなあ〜頭が小さいからかな? すごく肩幅が広く見えるな〜などと思っていましたが、それは実はピッチリと襟元をあわせすぎている、着付のせいだったのだと気がつきました。振袖は伊達衿を入れたりするので、同じ着付でもこの着物の衿のラインが首から離れるため、そんなに気になったりしないのですが、同じセオリーで着付けると肩幅が広く見えてしまうんですね。

 もし、肩幅が広いから‥‥とお悩みの肩、いえ方がいらしたらぜひこの「衿を首から離す」着方をお試し下さい。肩幅だけでなく、ふくよかさんにもほっそり見えて嬉しいワザですよ〜。あともう一つ。姿勢だけでも随分変わります。肩甲骨を寄せるイメージで、肩を後ろに落として下さい。

 着付+姿勢で、めざせ!ホッソリ肩! ですです。

お引っ越しに収納に☆風呂敷包みの基本とコツの巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 そんな中、自宅と仕事場をダブルで引っ越すことになっているわにこです。しかも時期もどんかぶり、リフォームも同時進行でもうしっちゃかめっちゃかであります。終わらない冬はない! 明けない夜はない! 終わらない仕事もない! とブツブツいいながら、今日も荷物と格闘しております。

 自宅も仕事場も、運ぶ着物の量が半端ない! 自宅のほうは、引越し屋さんから1箱に10枚ほど入る専用ダンボール(あるんですね!)をもらい、たとう紙のままばんばんつめこんでいます。が、仕事場は徒歩2分の場所に越すというのもあって、自力で引っ越すことにしたものの、着物の運搬がなやましい‥‥と思っていたのですが、これが、風呂敷に包むとあら便利!! 着物や帯って結構重いのですが、ふろしき包みにするととても運びやすいのです。

 ダンボールに入れるときも、こまごましたものを風呂敷につつんでから入れると、非常に整理しやすい。

 ドロボウさんが唐草模様の風呂敷を背負っている絵を見たことがあると思いますが、たしかに持って入るときはかさ張らず、どんなものでもざっくりまとめて包んで運べる。凄腕のバッグ&パッキンググッズです。

 子供が小さいとき、風呂敷の上で遊ばせて、遊び終わったらおもちゃをざっくり包んで片付けておいたりもしましたが、本当に「なにかをまとめて包んじゃう」そして「運ぶ」ことにおいて、風呂敷ほどフレキシブルなものもないのではないでしょうか。

 先日は、お膳7客を隣駅に運ぶというミッションがあったのですが、風呂敷のおかげで無事包んで運ぶことができました。いろんなサイズの箱なども、きちんと包めばかなりうまくパッキングできます。段ボール箱だと「後少しで入らない!」とかいう場面でも、自在に対応できるところがすごいなと思います。

 また収納時にも風呂敷は本当に便利。私は衣替えしてオフシーズンの着物や帯、衣類は風呂敷につつんで押入れボックスに入れたり、スチールラックに積んでおいたり。種類別に分けておけば、その包みを手に取ればそこから探すことができるんです。

 着物を風呂敷に包んでおくときのコツは、空気をぬきながら、丁寧に包むこと。角と角をあわせるとき、間の布を遊ばせないできちんと中に寄せること。こうすることで持ち運びのときに、中で布が遊ばないのでシワになるのを防げます。

 引越しのときだけではなく、旅行や収納のときにもこれをするだけできれいにしまえますので、ぜひピッチリ包み込むようにしてみてください。なんだかいろいろなテクニックを覚えたくなりますが、基本の「平包み」「お使い包み」「四つ結び」を覚えれば基本大丈夫!

 結び目はタテ結びではなく真結びで!(帯揚と同じです!)

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「平包み」は結ばないで包む。ゴロゴしないし、なにか他の容れ物にさらにいれるときにはこれでも。
「お使い包み」は一つの角だけ結ぶ。いわゆるお弁当結び。1つの対角線で十分に荷物を包めれば結ぶのは1カ所でオッケー。
「四つ結び」は2つの角を結ぶ。ゴロゴロはしますがこれが中身が一番安定します。引越し等荷物として運ぶときには安心。

 そして、風呂敷は汚れたら洗えます。畳んでしまえば邪魔にもなりません。改めて風呂敷の力に開眼したわたくし。バッグにも風呂敷を1枚入れて歩くようになりました。

 風呂敷を一度、見直してみませんか?

桜尽くしの妄想コーデ☆試着室が新しくなったゾの巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 東京はもう開花宣言! 平年より9日も早いのだそう。ほんと早い。早いですよね〜。少しまた気温が下がって、満開はまだ先になりそうですけれど、なんだか気持ちばかりが焦ってしまうのは私だけでしょうか。年度末で引越しもあってめっちゃ忙しいのに花見とか(><)できない!!できないよ〜(自業自得ですが‥‥)。

 さて、毎月恒例の妄想コーデも今回は桜をテーマにしました。使いたいモチーフがはっきりしている時は右上の検索窓に、モチーフ名を入れて探してしまいます。

「桜」と入れると、さすが国花。着物と帯だけではなく、帯締め帯揚げ半衿、帯留や足袋、伊達締めなどの着付小物までずら〜っと表示されました。全身ぜ〜んぶ桜コーデもできちゃいますね。帯板や着付クリップまで桜モチーフでいけちゃいます!

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 気に入った着物、帯を選んで「チェックした商品を試着する」ボタンを押すと、試着室に入れます。あっ! 試着室が変わった! 以前は試着した姿をチェックするのに、前と後ろから見た様子は切り替えボタンでチェックしていましたよね。それが同時に表示されるようになって、あら便利。

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 特に帯は、後ろ姿がよく見たいですから、わざわざ切り替えなくても見られるとイメージがはっきりするので、より妄想も膨らみます(笑)。

 ちなみに私は着物の模様がわかりやすいので、いつも背景「なし」にしています。

 今回は夜桜見物をイメージして妄想してみました。

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 桜だけれどモノトーンでもちょっとキッパリしたコーデにしてみました。半衿と帯締めでちょっとだけ桜色を効かせて。帯締めも桜の模様です。

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 改めていち利モール全体を見てみたら、スッキリと見やすくリニューアルされてます!(気付くの遅っ!) 担当さんに聞いてみると、「ふっふっふ、『お仕立て・加工をする』ボタンが増えたり、いろいろ他にも便利になったんですよ〜」とのこと。試着室だけじゃなかった!

 ログインパスワードを再設定しなおすと、500円チケットがもらえました。そしていろいろ70%オフ‥‥‥! あーいけないものを見てしまったかもー!! 

 ちょっと欲しい帯留があったんだよね‥‥えーと‥‥‥、桜さくらコーデでは飽き足らず、さらに妄想の旅に出てしまいそうです。誰か止めて〜(笑)。

リサイクル着物について考えた。の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 先週無事「きもチャリ」が終わりました。仲間とやっているチャリティ活動の中で、着物でチャリティを、と始まったイベントですが、たくさんのご寄付をいただいて、もう6年近く続けています。

 箪笥の肥やしになっている着物を寄付していただいて、それをお買い上げいただいて、公益財団法人みちのく未来基金という震災孤児の進学をサポートする団体に寄付しています。

 こちらのコラムでご縁をいただいた方からもご寄付やお買い上げを頂いて、今年は3日間のイベント全体で50万円以上の寄付をすることができました。一方会場等の都合もあり、今後毎年の継続は厳しい状況ですが、できることを続けて行けたらと考えています。心を寄せて下さった皆様、本当にありがとうございました。

 チャリティにやってくる着物たちは、ただの不要品だとは私には思えません。自分の着物でもう着ないからいらないというものもありますが、大体はおばあさま、お母様、ご縁のある方の着物を、ただ捨てたり売ったりすることができなくて、使って下さいとおっしゃるものが多いです。中には高価だっただろうな〜とため息がでるようなものも。

 仕分けや陳列を皆でやりながら「どういうものだろうね」と話す時間も楽しいです。畳む作業をしながら、着物や帯と心の中で話したり(危ない人)。またこの畳むという作業もいいのですよね。スタッフで入ってくれた友人が「こうやって手でなでて、畳むから、着物って愛着が湧くのかもね」と言っていましたが、本当にその通りだなと思います。

 スタッフではわからないことも多いので、今回は「きものカード」というものを作り、だいたいのサイズやどういうものなのかを書ける方には記入していただいたのですが、皆さんがそれを大事にされていて、でも着られないからどこかで役にたってくれればという想いで寄付してくださったのだと伝わるものが多く、メッセージに感動するものも。

 着物は、ただのモノではなく、なにか心を動かすものがあるようです。また、お母様の手刺繍や染め、おばあさまの編んだビーズ半衿などを寄付していただいた方もあり、気持ちが暖かくなりました。

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 そして不思議なのが、それぞれの着物に、それが似合う人が迎えにきてくれるということです。いくらフレキシブルに着られるといっても、着物にもサイズはありますし、リサイクルではなかなかピッタリのものを求めるのは難しいもの。だからこそ、あっ!とご縁を感じたものはお迎えしてしまうんですよね(笑)。

 はんなりなもの、粋なもの、個性的な着物や帯など、それぞれ似合う人がお買い上げになっていきます。その様子はちょっと感動ものです。「この帯はどんな人が似合うんだろう?」と思っていたら「私はこれ」と持っていた方。「あ!帯が呼んだかも」と思うくらいイメージピッタリで思わず唸ってしまいました。

 すごく個性的な色や柄の着物も、ちゃんと似合う人が現れる。着物の「引き寄せ力」を感じます。とはいえ、やはりどうしても3日間で全てを販売することはできません。

 残った着物は、環境活動や被災地支援などを行っている「環境まちづくりNPOエコメッセ」さんに寄付させていただいています。こちらでは店舗で販売したり、着物フェアをしたり、着物としては着られないものは素材として活用してくださっています。(こちらの受付は随時です)

 もちろん、着物は自分で新しいものをお誂えするのが最高ですが、リサイクル着物との出会いも捨てがたいものがあります。でもどうやって選んだらいいか、お手入れはどうしたらいいか、などなど不安もあるかと思います。

 そんなときは「初めてのリサイクル着物 選び方&お手入れお直し」(髙橋和江著)をお勧めしちゃいます。マンガも交えつつ、わかりやすい構成になっています。マンガとイラストは私が担当させていただきました(宣伝か!)。著者はきものをたのしくやさしくおもしろく、のたかはしきもの工房の女将です。お手入れや畳み方のハウツーもあって、QRコードを読むと動画も見られるんですよ。名古屋帯の畳み方など、本当に便利です。

 なんか最後の方は宣伝になっちゃいましたけれども(笑)、着物は中古だからいらない、とばっさりできない何かがありますよね。またリーズナブルに手に入るのも魅力です。洋服などにリメイクするのもいいのですが、着物好きとしては、着物はなるべく着物として着てほしいな〜と勝手な願いを持っています。

 それにはやっぱりもっと、着られる人を増やさないとですよね。着付はハードルが高いと思われがちですが、そんなこともないんです。まずは和洋ミックスでもいいし、自己流でもいいので、身につけてくれる人が増えたらいいなあ〜。羽織なんか、カーディガンがわりに着るとなかなかいいですよ。正絹のものは着心地もあったかさも最高です。

 箪笥から飛び出して、次の持ち主のところにお嫁にいく着物たちを見ながら、いろいろと想いをめぐらせた3日間でした。

着物はめぐるよ☆「きもチャリ」今年も開催の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 東京はやっと暖かくなってきたなあと思ったらまた厳しい寒さと雨。三寒四温とはよく言ったものですね。もうすぐ春ですね。

 そして、東日本大震災から七年。もう七年という気も、まだ七年という気もしますが、まだまだ生活が立ち直っていない方もたくさんいらっしゃいます。クリエイター仲間で集まって「wasurenai」というチャリティイベントを毎年この時期に開催して、収益金を親を被災で亡くした子どもたちの奨学金にあてている「みちのくみらい基金」に寄付する活動を続けています。

 できる範囲でできるだけ。それぞれ作品や得意な技を持ち寄って、チャリティということで、わたしは着物を寄付していただいて販売する着物のチャリティバザー、略して「きもチャリ」部門で活動しています。

 昨年はコラムで寄付をお願いしたところ、全国からたくさんの寄付をお送りいただき、過去最高の売上でした。今年も、覚えていてくださって送ってくださった方もいらっしゃいます。きもチャリの開催を楽しみにしてくださっている方も増えて、ありがたい限りです。

 今年も、30箱以上のダンボールが受付日に届き、嬉しい悲鳴が。着物好きの仲間が集まって、仕分けや値付けをし、陳列。これがなかなか大変な作業です。目利きというわけではありませんから、着物の状態をざっと見て1000円、3000円‥‥と仕分けていきます。だから、掘り出し物があるかもなんです。帯も500円、1000円から。すごくよいものでも、とってもお得な値段。

 今年は「着物カード」というのを作って、どんな着物なのか、一言添えていただけるようお願いしました。サイズの他におばあさまのもの、お母様のもの、どこで買ったか、何に似合うか‥‥メモしていただきました。寄付してくださった方の思いが伝わって、じーんとする場面も。

 ただの古着のようでも、着物ってなんだかそれだけじゃない。気持ちがこもっているような気がします。だから、こうやって着ない着物たちが箪笥から飛び出して、着る人や作る人の手にわたってまた活躍して、しかもそれが奨学金の支援になる。チャリティの開催は正直大変なこともいっぱいですが、毎年それが励みになって続けています。

 着物は、そのままきてももちろんいいし、和洋ミックスにしたり、羽織なんかは洋服の上にカーディガンがわりに着ても可愛いですよ。正絹だから、軽いし暖かいです。

>チャリティその後☆箪笥から飛び出した着物たち

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 ここ3年会場になってきた昭和な家が、今年取り壊されることになり、このスタイルでの開催はこれが最後になります。今後どういう形になるかはわかりませんが、奨学金の寄付につながるチャリティは続けて行けたらよいなあと思っております。チャリティは、大きな負担になっては続かないので、細く長く。できるときにできるだけ。そしてなにより、関わる人が楽しいことが大事だと思います。

3月9日(金)〜11日(日)の開催です。このコラムがアップされるころ、ちょうど開催中です。

 リサイクル品でもこれは!というものに出会ったら、お手入れして着るのも楽しいものですよ。いち利モールさんでもクリーニングはじめ、裄直しなど、いろいろな着物のお手入れメニューがあります。受け継いだ着物、出会った着物……楽しんでおしゃれに着てあげたら、着物たちも大喜びですよね。

 3.11はみんなにとって忘れられない日で。それぞれの想いを抱えて過ごされると思います。もしなにか、自分が関われることがあったら、目をむけてみてみてもらえたら。

 前を向いて歩き出すためにも。

歌舞伎座!高麗屋三代襲名披露にいってきたよ☆の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 皆様歌舞伎は御覧になりますか? 先日、歌舞伎座の二月公演、高麗屋三代襲名披露にいってまいりました。私は、細く長く機会があればという程度ですが、一番好きな伝統芸能です。わかりやすく、華やかで、けれん味があって、役者さんたちが魅力的で。演目の着物もそうですし、観劇にいくときに着物を着ていくのも楽しみのひとつです。もちろん、他の方の着物を見るのも!

 私がはじめて歌舞伎を観たのは、地元の農村歌舞伎。岐阜県中津川市加子母の明治座で、村人たちの演じる歌舞伎。子供歌舞伎もあり、同級生たちが出演する義経千本桜でした。岐阜は農村歌舞伎が盛んで、歌舞伎は身近なものという感覚で育ちましたが、東京にでてはじめて歌舞伎座へ行って、あたりまえですがケタ違いの華やかさと豪華さにくらくらしたことを覚えています。

 以降、本を読んで勉強して、学生の頃は観たい演目は幕見にオペラグラスを持って通いました。毎月通う熱心なファンではなかったですが、友達に誘ってもらったり、折々に観に行きました。特に仁左衛門丈(当時は孝夫様♥)出演の演目のときは、張り切って出かけたものです。

 仁左衛門丈の襲名披露のときは、母と名古屋の御園座公演に一緒にでかけたのもよい思い出です。花道横で仁左さまの脛に鼻血が……(すみません)。そのときの演目は郭文章。また、新歌舞伎座の柿落しで同じ廓文章を仁左衛門・玉三郎で観たのも良い思い出です。亡くなった母にも見せてあげたいな、なんて思って、形見の数珠ブレスレットをつけていきました。

 実は、新歌舞伎座は今回が二度目。浅草や演舞場では観たりしていましたが、なんだか慌ただしい日々が続いていてそんな余裕もなく。今回高麗屋さんの襲名公演に誘ってもらって、スケジュール的には厳しいかなあ‥‥と思ったものの、ああそういえばここしばらく、落ち着いて歌舞伎を観ることも叶わなかったなあと、思い切って出かけることにしたのでした。

 案の定、ぎっくり腰になったりしてw 万全の状態ではなかったですが、思い切って出かけてよかった!!! 着物も着て行きましたよ!

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 千秋楽だったのもあって、お客様も、迎える役者の奥様がたも、それはそれは素晴らしい着物姿が多く、ついキョロキョロ。詳しい友達にいろいろ教えてもらってほおおお!!あーっ!あの方は、あーっ!あの方もと心の中でキャーキャー言いながら、堪能しました。

 本当に豪華な出演陣で、久々に観た私でもああ、あの役者さんがこんなに立派になってとか、変わらないとか、年をとったなあなどと感慨にふけりながら観劇することができました。観客席も着物姿の方も多く、大向うのかけ声もいつもよりたくさん! アドリブも楽しく、知らず知らず心が浮き立ちます。

 歌舞伎の魅力のひとつは、世襲制にあるのだろうなあと長く観ていて思います。だから、それぞれの役者さんの後ろに先代の面影を見ては「ああ、お父さんに似てきたなあ」とか「父を超えたなー!」とか「もうちょっと頑張れ」とか(笑)そんなことを実感として思うようになってきました。昔はその役者さんのお父さんの話をされても「知らんし」とか思っていましたが(笑)、ええ、お父様の若い頃をリアルタイムで見ていて知っていますとも〜〜! 自分が年をとった証拠でもありますよね。

 別に家族や親戚でもないけれど、子供が生まれ、成長して立派に名跡を継いで行く様を見るのは、感慨深いものがあります。見続ければ見続けるだけ、発見もあり面白さも増す。芸と、そういう血統のサブストーリーも、観客に足を運ばせる魅力となっているのでしょう。

 今回は三代揃っての襲名披露と、なかなか願ってもできることではないお目出度い興行。生まれたときからかくあるようにレールが敷かれてそこでさらに自分を磨いていくというのは並大抵のことではないでしょう。白鸚を襲名した幸四郎さんが、染五郎から幸四郎を襲名するときに10代のころはそれがいやで、反発をして音楽をやったりしたこともあるというインタビューを読んだことがあります。それがなんと37年前のこと。今回お孫さんが染五郎となり、大名跡の幸四郎を息子に譲り、今はどんな風に感じていらっしゃるのでしょうか。

 いつもそこにある歌舞伎。それを維持していくのも大変なことでしょう。だけど、そうだからこそ観客である我々も、折々にあのときこれを観た、誰と一緒に行った、自分自身はこうだった、などと思い出せる。舞台に足を運んで、お弁当を食べて、時の流れを感じながら、お芝居や踊りに涙ぐんだり手を打ったり。

 久しぶりにゆっくりした時間を過ごして、歌舞伎に繋がる思い出にも心をめぐらせ、本当に楽しかったです。やがて今日のことも、ああ、あの襲名披露のときは観にいったと、思い出のひとつになっていくのでしょう。そしてまた、いつかの未来の幸四郎の襲名公演を、わたしは見ることが果たして出来るのでしょうか? 連れて行ってくれた友人に感謝しつつ、胸いっぱいで歌舞伎座をあとにしました。

 次はいつ来られるのだろう。物理的には行くことができても、やはり強いモチベーションか、精神的に余裕があるときじゃないと無理だなあと思ってしまいます。ちょこちょこと、好きな役者さんがこの演目をやるから!なんて、着て行く着物に迷って、ときめいて。そんな芝居見物ができる余裕のある人生が送りたいと、夢ノートに書いておこう。

 高麗屋三代のご襲名、誠におめでとうございました。


2018春のトレンドカラーで妄想コーデ☆の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 寒い寒いといいつつも、春が一歩一歩近づいて来ている感がありますね。梅がつぼみを膨らませていたり、太陽の角度があがってきたり‥‥。二十四節気では雨水、七十二候でいうと土脉潤い起こる(どみゃくうるおいおこる)。雪が雨にかわり、固い大地が潤い、柔らかくなりはじめる時期です。

 寒くて凍える冬も、必ず終わりがくる。じわじわと春に向かっていると思うと、少し気持ちが明るくなります。

 そして春はなんだか優しい色を身にまといたくなりませんか? 今年の春のトレンドカラーは、ラベンダー、イエロー、ミントグリーンなど、パステルカラーが中心だそう。ラベンダーとミントグリーンを選んで、着物と帯の色差をあまりつけず、帯締めをポイントにしたワンピース風のコーデを考えてみました。

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http://bit.ly/2sBusYI

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 全身でなくても、ちょっと流行の色を取り入れるだけでハッとコーデが新鮮になることってありますよね。お気に入りのいつものコーデに、ちょっとプラスしてみてはいかがでしょう。

意外と知らない?足袋のはきかたおさらい☆の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 突然ですが、皆様足袋をはくときはどんな格好ではいていますか? 足袋をはくときは、基本は体育座りポーズでひざを立ててはきます。ちょっとエレガントにはきたければ、横座りもアリ。体幹に自信のある人は、立ってはく?

 さてさて引き続きぎっくり腰の余波で、おとなしめの生活をしているわにこです。とにかくゆっくり動き、腰に負担がかからないように‥‥なんですが、着物を着る時。着物を着るの自体は大変ではないんですが、足袋をはくときがちょっと、いえ大変辛い‥‥。

 前屈みになってする動作が辛いんですね〜。体育座りをしても横座りをしても、辛い! で、足を組んで履いてみたら、あらっ! コハゼに手が届きやすく、履きやすい! 皆様もう御存知でしたか? ちょっとお行儀が悪いですが、背に腹は変えられない。足袋は一番最初に履きますから、考えてみたらどんなポーズも自由自在ですよね。らくちんでした。

 ついでに(?)足袋のはきかたのおさらいをしてみました。

 最初に足袋を折り返して指をきちんと入れる。こうすると足袋をピタっとはけます。あと、よくつま先を伸ばして足袋を履こうとする方がいますが、つま先はたてて足首の角度を直角にしたほうがコハゼはとめやすいですよ。基本的なことですが、コハゼは下からとめていきます。

まとめると‥‥

(1)足袋のコハゼを外して、つま先に向かって半分に折り返し、足を入れて指を奥まで入れる。

(2)折り返し部分を元に戻して、かかとをきちっと納める。

(3)足首を直角にしてコハゼを下からとめる。二本の掛糸にこはぜをひっかけ折り返してとめていきます。一番上までとめたら、全体を後ろに引くようにして密着させると外れてきにくいです。

※このとき、座って足を組むと、コハゼがちょうどよく見えて手が届きやすく、ラクにはけます。どうしても履きづらいとき、お試しください。

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 コハゼは、掛糸二本を一度にひっかけてとめますが、上のほうなど足首が太くてかけられないようなときは、手前の1本にかけたりしてもオッケー。自分にピッタリサイズの足袋を誂えられればそんなこともありませんが、市販の足袋はいろんなサイズがありますし、基本は伸縮性がないものなので、自分にあった足袋を探してください。

 小さめの足袋をキュキュッとシワの入らないようにピタッとはいた足元は本当に美しいもの。でも結構痛かったり。かといってブカブカの足袋は不格好(^^;)このあたりは個人差がありますので、辛くなく美しく見える足袋が欲しいなあといつも思います。

 私は特に甲高幅広の足なので、なかなかキレイに履ける足袋がなく、どうしてもストレッチ足袋にしてしまいがち。綿でピタリと決まった足元は憧れです。また、訪問先で草履を脱いで上がったりする場合はきれいな足袋でお邪魔したいもの。こんなときは替えの足袋を持っていくという方法の他、足袋カバーをつけていって、中に入った時に脱ぐという方法もあります。(時々、忘れてずっと履いていて気付いてあっ!ということも多いですが‥‥えっ私だけですか)。

 ファッションとして履く足袋は、今いろんな素材のものが出ていますし、色や柄も豊富。寒い時期はネルや別珍の足袋もいいですね。レースや合皮などのものもあり、白ばかりにこだわらず、ラクに楽しく履ける足袋で遊ぶのもいいですよね。合皮のものなどは、草履にうまくあわせると、ブーツや靴っぽくもあり、カッコイイですよ。着物のときは必ず履くものなのに、ちょっとおざなりにしがちな足袋のおしゃれ。今年は私もいろんな足袋にトライしてみたいです。

 もちろん、はくときもスマートに‥‥を心がけて(苦笑)。

腰痛に着物&ナンバ歩き☆の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 やってしまいました! ぎっくり腰です。寒くなると増えるらしいですね。まんまと寒い中、ゴミ捨てをしようとして違和感‥‥‥。やばい、と思ったらどんどん痛くなってあー‥‥‥。ちーん。

 全く動けないほどではなかったため、じわじわと動いて生活していましたがもう、なにもかも予定が吹き飛ぶ痛さ。寝返りもうてずに横たわっているのに、追い打ちをかけるように雪が降ったり。やはり冷えが大敵なのですね。あと辛いのが咳!!泣けました。

 そんな中、思いのほかよかったのが、着物でのおでかけ。パーティがあり、ちょっと無理かも?と思いましたが、どうしても行きたくて、根性で着物を着てでかけました。

 でも、補整のたかはしきもの工房の「腰すっきりパッド」にホッカイロを仕込んで、温め&少し低い位置で骨盤を締めることで随分楽に。その上に帯をするので、腰の骨が立つというか、姿勢がよくなって、重ね着で暖かいので、洋服より快適に過ごせました。

 しかも、着物のときは「ナンバ歩き(同じ方向の肩と足を出して歩く)」をすると結構いいんですよ。ねじれないので着崩れない。昔の日本人は皆この歩き方だったと言われています。ちょっとロボっぽいけど慣れればラクちんです。コツは大きく手をふらないこと。

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 あまりに快適だったので、洋服のときも、腰スッキリパッドをつけたまま生活しています(笑)少し下目の位置につけるので、Lサイズを使っています。本来の使い方とは少し違いますが‥‥。

 ついで(?)なので本来の使い方について少し。全面ポケットになっている補正具なので、自分のウエストのくびれているところ(結構人によって上だったり下だったりします)とヒップの窪み(これも個人差大!)に必要な分のタオルを用意して、窪みを埋めるようにピッタリと巻き付けます。ブカブカにならないようにするのがポイント。

 ウエストの補整なんていらなーい、と思っていたわたしですが、たかはしの腰スッキリパッドを使い始めてからは必ずしています。

 なぜなら、体と着物や帯の間のクッションになってくれて、自分が楽だから。腰紐や胸紐、伊達締めがちょっと苦手だったのですが、補整を入れることでキリっと結ぶことが怖くなくなりました。腰紐がキリっと結べると、格段に着崩れしません。なんとなくはだけてきたり、おしりのところがひっぱられてブワブワになったり、ということがなくなるんです。

 私は締め付け嫌いなところがあるので、これは福音でした。

 もちろん、必要なところにタオルを入れてウエストと腰の凹凸を補整するので、着姿もよくなります。着物は直線断ちの衣類ですから、曲線よりも平らなところに沿わせると格段に着付けやすいです。あと、防水機能もあるので、汗が帯や着物に染み出さないのも嬉しいです。

 普段は腰骨ぎりぎりにひっかかるくらいの位置にかませて凹凸を埋めるようにあてて、下線をキュッと止める(上はあまり締めません、苦しいので)のですが、腰痛対策にはもっと低い位置でコルセットがわりに巻いてみました。つけるときにやっぱりあったかいし、今ちょっと手放せなくなっています(笑)。

 帯も腰紐も少し下目に締めると腰痛にいいようです。着物は重ね着だからお腹まわりがしっかり暖かいのもグッド。

 もし‥‥腰痛に悩んでいる方いらしたら、おためしあれ! (ババくさい話題で失礼しました(^^;))

苦しくない胸紐の結び方を考える☆の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 着物を着ていて、苦しいとき。私の場合は、みぞおちあたりに紐が当たってしめつけてしまっている時です。高い位置に紐を結ぶと、襟合わせが押さえられるのできれいに着付けやすいのですが、そうすると苦しくなってしまうことが多いものです。

 着物を着ると苦しい、と感じることがあったら、紐の位置を見直してみるのはいかがでしょうか。紐で体を縛る回数は減れば減る程楽なわけで、中にはどんどん紐を抜いて行って、最後は腰紐1本で着るという方法もあるくらい。

 ただ「そういう風に習ったから」「本に書いてあるから」紐や伊達締めを結んでいるのであれば、その位置が少し下がってみぞおちを押さえないようにしたらどうなのか、紐を省略したらどうなのか、試してみるのはいかがでしょうか。ほんの1センチ、2センチ紐を下げただけで体がぐんと楽になることもあります。

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 胸紐や伊達締めは、着るときの押さえと考えて、面でとめる。締め付けない。みぞおちにあたりそうだったら、位置を下げる。着ている間に上がって来てしまったら、指を差し入れて、ぐっとひくだけでもゆるんで楽になります。

 紐をギュッとしっかり締めなくてはいけない部分は、腰紐1本だけ。ここは、おはしょりを作ってその重さを支えるので、ゆるいと着物がぐずぐずになってしまうため。ただ、締めるのも背中側でしっかりしめて、お腹側はキリキリには締め付けません。

 他の紐はギュっと結ぶというより、太めの紐を丁寧にひらいてあてて、面で押さえるというイメージです。腰紐以外は結ばずにからげるだけにすることもあります。ただゆるいだけだと、してもしなくても同じになってしまいますから、適度な押さえになるように。このあたりは、感覚と慣れでしょうか。

 もうひとつ、苦しくなる元凶が帯枕の紐。ガーゼで作った大きな結び目の玉がみぞおちにヒットするとこれほど苦しいことはありません。パンチでえぐられているようなものです。必ず左右どちらかに結び目をずらして、紐はなるべく帯の中に深くしまうようにしましょう。枕紐の素材を変えるのもおすすめです。

 着付は、案外思い込みを捨てるとラクになること、変わることたくさんあります。たまには、YOUTUBEの動画をみたり、他の人の着付を研究してみると面白いです。胸紐ひとつにしても、モスリンの紐、木綿の紐、絹の紐、博多織の伊達締め、ゴム‥‥しないという選択肢だってあります。私も日々、ラクにキレイに着られる方法を研究中です。

 ちょっとしたことですが、人それぞれ楽な方法が違うのです。自分にあっている方法、まだまだ他にあるかもしれませんよ。

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