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 大寒過ぎ、少し寒さも緩むのかな‥‥と思っていたらまだまだ冬将軍は居座りそうですね。寒い! 布団から出るのが辛い毎日です。

 最近、家にいる間中背負っているのが「ねこ」。動物の猫ではなく、長野県南木曽町で作られている防寒着の名前なのです。木綿綿や真綿の入った長方形の薄い布団のようなものを背中に背負う形です。半纏の袖も前見頃もないバージョンとでもいいましょうか。亀仙人の甲羅が平らな状態です(余計わからんわ!)

 いつぞや田舎の叔母が着ていて「そんな背中だけなんで本当にあったかいんかいな」と思ったのですが、これが暖かい!! しかも、袖も前見頃もないので全く動作の邪魔にならず、背負っているのを忘れるほど。すっかり忘れていて、ふと鏡を見てびっくりしたり(笑)

 昨年、キモトモのお母様の手作りのねこを譲っていただいたのですが、もう手放せなくなっております。今こうして原稿を書いている間も、背中にはねこです。


 上から上着を羽織ると、一層暖かい。おうち着物のときなど、羽織の下にねこを背負うとぽかぽかです。感覚としてはダウンインナーのようなかんじですが、背中だけ、というのがミソなんですね。

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 背中側の首の付け根のあたりに「風門」というツボがあり、ここはまさに「風邪の門」。風邪の引き始めなど背中がゾクゾクするあたり。ここを温めてあげると、風邪を寄せ付けないそうです。着物の時は、帯があるので腰のあたりは冷えないのですが、首筋から背中の上部が結構手薄。ねこは強い味方です。腰のあたりまで覆うので、本当に温かい!

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 着物、洋服の上に着るとこんなかんじです。(友情出演:キモトモ&猫)


「ねこ」と似たものに「背負い真綿」があります。布でくるんであるものと、ただ真綿をのばして下着や服の上に置いて、衣類の間に挟んで使うものがあります。挟むだけ? と思いましたが意外とこれがずれないんですね。

 真綿は小さくちぎってのばして足袋や靴下の先にいれると暖かいですし、ひじやひざなどにあてる方も。持っているだけでじんわり温かさを感じます。布に挟めばまさに繊維の天然カイロ!

 

 「綿」の素材も木綿綿、ナイロン綿などいろいろありますが「真綿」はシルク100%。軽く、光沢があり保温性も高く、消臭抗菌効果まであるというまさに綿の王様やぁ〜なのです。

 昔は冬の着物にはこの真綿を薄くのばして入れて防寒にしました。春になると綿を抜いたことから、四月一日と書いて「わたぬき」と読む苗字がありますね。絹は布としてだけでなく、綿としても日本人の生活に密接に関わっていて、半纏や布団だけでなく、いろんなシーンで大切に使われてきたもの。

 キモトモが、着物の上に着る道中着型のコートにこの真綿をいれたものを着ていて、本当に素敵でした。もっとこういうタイプの着物コートがあってもいいのにな〜。

 布団は羽根布団。防寒着はダウン。な現代ニッポンではありますが、ずっと使われてきた防寒の知恵、真綿も見直してみたいなと思っている、わにこ(背中にねこ)でした。