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 着付をはじめたころ、一番の悩みは衣紋が詰まってしまうことでした。

 抜き過ぎたくはないけど、詰まってしまうとカッコ悪い衣紋。シュっと形よく抜いて着たくて、着始めはかなり抜いているくらいのつもりなのに、着上がってみると、すでに詰まってしまっているのはこれいかに!

 衣紋抜きをつけて、一生懸命引っ張っても、すぐ元に戻ってしまう。ドウシテー!! と思っておりました。

 今なら原因はこんなことかなと思い当たります。

・補整をしていないので、長襦袢や長着に余計なシワが入り、布が動いてそこから崩れる

・パパっと羽織ったり、焦って着ているので布目が泳いで落ち着かず、衣紋が動いてしまう

・長襦袢、長着ともに衿をあわせる時に、前に引っ張っている

この3点を解消していけば、衣紋はずれにくいはず。

 最初に、ウエストのくびれや胸を押さえるなどの補整をすること。これはどれだけきちっと着たいかにもよりますが、最低限腰にタオルを1枚まく、和装ブラなどで胸を押さえるというのはしたいところ。やはり補整がきちんとできていると、その先着るのがめちゃラクになります。

 次に気をつけるのは、焦って羽織ったりしないこと。そろりと羽織って丁寧に着るのがポイントです。

 ちゃちゃっとやってしまいたくなったり、焦るときもありますが、急がば回れの言葉通り、ゆっくりめに手を動かしていく。布を重ねる時は、空気を抜きながらあわせていくと、あとからズレにくいです。そして布目を整えて体にあてていきましょう。

 最後に長襦袢の衿をあわせるときは、抜いた衣紋が戻らないように真横にひきながら、胸を包むようにあわせます。ここで前にひいてしまったり、あわせが浅いと、布地が泳いで襟元の崩れに繋がるのです。

 長着も同様に、シワをとって手をゆっくり動かして着ます。

イラスト20180627

 そして、ここからが重要なプラスワン。

 長着の腰紐を結んで、おはしょりと襟元を整えた段階で、長襦袢の襟元はちょっと浮いているはずです。なぜなら長着を羽織るとその重さで長襦袢の衿が押されて緩むから。

 なのでこの段階で長襦袢の襟元の浮きを押さえておくことが、その後の襟元の崩れと衣紋が詰まることの防止にとっても重要になってきます。長着をはしょって、長襦袢の背中側を引いて浮きを押さえます。

 その際も、衣紋抜きがついているからと、衣紋抜きだけをぐいぐい引っ張ったりしないで、じわっと、衣紋抜きを引く(もしくは背縫いを引く)。次に背縫いの両脇10センチくらいのところを持ってじわっと空気を抜くように引いて、全体を後ろに引き下げてください。

 そうすると、衣紋が抜けて、前の衿の浮きが収まるはずです。それでもまだ少し浮いていたら、前の衿先を持ってじわっと少しづつ引いてみて下さい。

 ここでグイ!と引っ張ってしまうと、左右ずれてしまったり、崩れてしまったりしますので、あくまでもじんわりとすることがポイントです。

 それから伊達締めや胸紐で襟元を押さえて帯を結べば、襟元の崩れは断然減りますよ〜! とにかくパパっと着ないこと、布目を整えながら着ること。

 衣紋がどうしても詰まって来ちゃう、というときには、上記の3点とプラスワンをお試しください。着姿がかわりますよー。浴衣も同様です。すっきりと衣紋を抜いて、素敵な夏の着物姿を楽しんで下さい!