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補整がうまくいくと着付はとってもラクになる!の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 着物を着始めた頃、言われるがままにタオルを2本縫い付けてウエストに巻いていました。胸を押さえたり、ベストのようなものを着たり。

 太って見えるだけじゃない?とずっと思っていたけど、良く着るようになって補整がうまくいくと着付が楽だということに気がつきました。着崩れも断然しないし、体もラク。どうしてなのでしょうか?

 なぜ補整をするのか。その大前提は着物が平面でできている衣類だからです。洋服のように体の凹凸にあわせて型紙ができているわけではなく、平らな布を凸凹のある体に巻き付けていくわけですから、どうしてもシワになったりギャザーが寄ったり。体と布の間に空間ができると、そこから着崩れもします。

 なので、土台になるボディをなるべく凹凸がなく整えてあげると、着物は断然着やすくなるというわけです。でも、ただ凹んでいるところを埋めて行くとどんどん太ってしまう! スッキリと、しかもゆるやかで女性らしいラインは残しつつ、着付のしやすいボディにはならないものか? 

 そんなとき、たかはしきもの工房の補整グッズに出会いました。胸はつぶすのではなく、寄せてアップする。ウエストはちょい足しで、お腹はひきしめる。

 さらしやタオルなどでも補整はできるのですが、テクニックが必要。簡単にラクにできるグッズに目からウロコでした。補整さえきちんとできれば、着付の8割は上手くいったようなものと言われましたが、なるほど〜の目からウロコの連続でした。

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 5年前にいち利モールさんのイベントで女将の髙橋和江さんにお話をきいて肌着や補整への関心がぐっと深まったのですが、さらに工房の補整は進化しつづけています。

 先日そんな髙橋女将の補整術の本がついに出ました。手ほどき七緒永久保存版『「たかはしきもの工房」髙橋和江さんの十人十色の「補整」術』です(タイトルが長い!)。タイトル通り、いろんな体型の方に「どういう補整が必要か。そしてそれはどうしてなのか」という理論も教えてくれる本です。

 今まで補整なんて必要ないわ!と思っていた方にも、補整のよさをよく御存知の方にもぜひ手に取っていただきたい一冊です。私自身は、キレイに着付ができるということももちろんですが、補整をすると自分の体がラクなので続けています。

 体に食い込む腰紐、胸元をしめつける伊達締め‥‥キレイに着るにはきつく締めないとだめよと言われ、本当に嫌でした。でも、動くと崩れてしまうし‥‥。そんな悩みも、ウエストにしっかり補整を入れることで紐を締めても苦しくないし、胸元をきつく締めなくても、着物が体に添ってくれるので着崩れしにくくなりました。

 そして気になる下腹、ヒップ。年齢とともに気になる部分もキュっと引き締めることでスッキリ。ちょっと待って、引き締めたら苦しいんじゃないの!?と思ったアナタ、骨盤周りは引き締めても苦しくないどころか、腰骨が立ってすごくキモチいいんですよ! 裾よけを正しくつけると、姿勢もよくなって一石二鳥なんです。

 ゆるめるところと引き締めるところを間違えずに体にぴったり着物を添わせて布地で体を支えれば、楽で着崩れない着姿の完成です。補整入れる派入れない派はあると思うのですが、ちょい補整、一度入れてみては。または入れすぎ補整を抜いてみてはいかがでしょうか。

 来週から開催の「キモノEXPO」でも、補整講座があります。わにこも16日〜20日、たかはしきもの工房のブースでお手伝いしておりますよ。なぜ補整をするのか。補整のメリットを知って、自分の体型にあう補整を探しにいらしてください。

 キモノEXPOは他にもいろんな着物周りの「知りたい」に応える講座や、手作り小物の講座もたくさんありますよ。やっと過ごしやすい気候になってきた10月半ば。おキモノまわりの楽しみを見つけにきてね!

▼キモノEXPOはコチラから▼
https://www.ichiri.ne.jp/lp/1810_expo/

 

夏は女子もステテコ!はいた方が暑くない☆の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 毎日暑いですね。拭いても拭いても汗が出て来るお年頃のわにこです。お年頃はおいといても、やはり夏は暑くて汗をかきます。

 着物や浴衣を着ると、足の間に汗をかいて不快なことありませんか? 汗をかかないまでも、足と足がナマでくっつくと熱が伝わって暑く感じるものです(細い方のぞく(涙))。

 そんなときおすすめしたいのがステテコ! もうとっくに履いてるわ〜という愛用者の方も多いことでしょう。そんな私も熱烈なステテカー(っていうの?)。夏は足の間の汗をとってくれるし、冬は冬で温かいし、暖房の効いてるところで汗をかいても平気。すそよけ代わりに1年中手放せません。

 ロングスカートの下にもオススメですよ。私はそのまま部屋着でウロウロしたりパジャマにすることもしばしばです。

 でも、ステテコって今でこそユニクロのリラコなどでレディースもおなじみになりましたが、もともとはオジサンの下着というイメージですよね。明治時代に男性の袴や着物の下に履くものとして誕生し、昭和ではスーツのズボンの下に汗とりとし、また家でくつろぐお父さんがルームウエアとして履いていたものです。

 このステテコ、実に日本の高温多湿の夏にピッタリな日本独自の肌着というのは御存知でしょうか。足の汗をステテコが吸うことと、ステテコをはくことでできる空気の層が、汗でべたつく衣服のさわやかな着心地を生み出しているんです。

 綿クレープなどの素材は凸凹のある生地が肌にはりつかず、快適な履き心地になります。最近では、吸汗速乾の新素材のものも増えていますね。着物を着始めてこんな快適なものを男性に独占させるのはもったいなーい!と思うようになりました。

 少しでも着るものを減らしたほうが涼しそうなものなのに、適正なインナーを着たほうが涼しいというこの不思議。「汗とり」を見直すと夏の着物はぐんと快適になります。

 
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 私が着物をきはじめたころは、女性用のステテコは入手しづらく、オジサンのステテコを履いたりしてました。とってもリーズナブルで(笑)快適だけどやっぱり前開きの部分が恥ずかしいし(爆)股上の深さが使いにいくかったです。

 着物の下にステテコをはく、というのがなんか恥ずかしかったですし、そんな話をしたら、いいわねーという奥さんの隣にいた旦那さんに「ちょっとウチの嫁になにすすめてくれとんねーん」と突っ込まれたこともあります(笑)。

 でもいまや「ステテコ」=オジサンではなく、レディースも選択肢が増えていますし、選ぶのも本当に楽しいですよね。

 シルクのものや麻のもの、新素材の柄ものなどいろんなステテコを試しましたが、いまはたかはしきもの工房のローライズステテコで落ち着いています。このステテコは、ローライズなので帯にもぐらず上げ下ろしがしやすいのと、丈が長いので、ステテコだけで浴衣等を着たとき、素足が透けないのです。

 でも、裾よけ代わりにするときは短めのほうが足さばきもいいし、より涼しくなると思います。防寒として考える時はちょうちんブルマーみたいに裾が絞ってあるものもいいですね。インナーとして着る時は濃い色や柄物は透けるので注意ですヨ。レースがいっぱいついてたりするとやっぱり可愛くて、気持ちが盛り上がります♥ 

 もし! まだ! ステテコデビューしていない方がいらしたらこの夏ぜひ! そしてステテコの快適さを知っている方は、浴衣デビューの人にぜひ教えてあげてくださいませ(^^)

 

意外と知らない?足袋のはきかたおさらい☆の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 突然ですが、皆様足袋をはくときはどんな格好ではいていますか? 足袋をはくときは、基本は体育座りポーズでひざを立ててはきます。ちょっとエレガントにはきたければ、横座りもアリ。体幹に自信のある人は、立ってはく?

 さてさて引き続きぎっくり腰の余波で、おとなしめの生活をしているわにこです。とにかくゆっくり動き、腰に負担がかからないように‥‥なんですが、着物を着る時。着物を着るの自体は大変ではないんですが、足袋をはくときがちょっと、いえ大変辛い‥‥。

 前屈みになってする動作が辛いんですね〜。体育座りをしても横座りをしても、辛い! で、足を組んで履いてみたら、あらっ! コハゼに手が届きやすく、履きやすい! 皆様もう御存知でしたか? ちょっとお行儀が悪いですが、背に腹は変えられない。足袋は一番最初に履きますから、考えてみたらどんなポーズも自由自在ですよね。らくちんでした。

 ついでに(?)足袋のはきかたのおさらいをしてみました。

 最初に足袋を折り返して指をきちんと入れる。こうすると足袋をピタっとはけます。あと、よくつま先を伸ばして足袋を履こうとする方がいますが、つま先はたてて足首の角度を直角にしたほうがコハゼはとめやすいですよ。基本的なことですが、コハゼは下からとめていきます。

まとめると‥‥

(1)足袋のコハゼを外して、つま先に向かって半分に折り返し、足を入れて指を奥まで入れる。

(2)折り返し部分を元に戻して、かかとをきちっと納める。

(3)足首を直角にしてコハゼを下からとめる。二本の掛糸にこはぜをひっかけ折り返してとめていきます。一番上までとめたら、全体を後ろに引くようにして密着させると外れてきにくいです。

※このとき、座って足を組むと、コハゼがちょうどよく見えて手が届きやすく、ラクにはけます。どうしても履きづらいとき、お試しください。

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 コハゼは、掛糸二本を一度にひっかけてとめますが、上のほうなど足首が太くてかけられないようなときは、手前の1本にかけたりしてもオッケー。自分にピッタリサイズの足袋を誂えられればそんなこともありませんが、市販の足袋はいろんなサイズがありますし、基本は伸縮性がないものなので、自分にあった足袋を探してください。

 小さめの足袋をキュキュッとシワの入らないようにピタッとはいた足元は本当に美しいもの。でも結構痛かったり。かといってブカブカの足袋は不格好(^^;)このあたりは個人差がありますので、辛くなく美しく見える足袋が欲しいなあといつも思います。

 私は特に甲高幅広の足なので、なかなかキレイに履ける足袋がなく、どうしてもストレッチ足袋にしてしまいがち。綿でピタリと決まった足元は憧れです。また、訪問先で草履を脱いで上がったりする場合はきれいな足袋でお邪魔したいもの。こんなときは替えの足袋を持っていくという方法の他、足袋カバーをつけていって、中に入った時に脱ぐという方法もあります。(時々、忘れてずっと履いていて気付いてあっ!ということも多いですが‥‥えっ私だけですか)。

 ファッションとして履く足袋は、今いろんな素材のものが出ていますし、色や柄も豊富。寒い時期はネルや別珍の足袋もいいですね。レースや合皮などのものもあり、白ばかりにこだわらず、ラクに楽しく履ける足袋で遊ぶのもいいですよね。合皮のものなどは、草履にうまくあわせると、ブーツや靴っぽくもあり、カッコイイですよ。着物のときは必ず履くものなのに、ちょっとおざなりにしがちな足袋のおしゃれ。今年は私もいろんな足袋にトライしてみたいです。

 もちろん、はくときもスマートに‥‥を心がけて(苦笑)。

苦しくない胸紐の結び方を考える☆の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 着物を着ていて、苦しいとき。私の場合は、みぞおちあたりに紐が当たってしめつけてしまっている時です。高い位置に紐を結ぶと、襟合わせが押さえられるのできれいに着付けやすいのですが、そうすると苦しくなってしまうことが多いものです。

 着物を着ると苦しい、と感じることがあったら、紐の位置を見直してみるのはいかがでしょうか。紐で体を縛る回数は減れば減る程楽なわけで、中にはどんどん紐を抜いて行って、最後は腰紐1本で着るという方法もあるくらい。

 ただ「そういう風に習ったから」「本に書いてあるから」紐や伊達締めを結んでいるのであれば、その位置が少し下がってみぞおちを押さえないようにしたらどうなのか、紐を省略したらどうなのか、試してみるのはいかがでしょうか。ほんの1センチ、2センチ紐を下げただけで体がぐんと楽になることもあります。

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 胸紐や伊達締めは、着るときの押さえと考えて、面でとめる。締め付けない。みぞおちにあたりそうだったら、位置を下げる。着ている間に上がって来てしまったら、指を差し入れて、ぐっとひくだけでもゆるんで楽になります。

 紐をギュッとしっかり締めなくてはいけない部分は、腰紐1本だけ。ここは、おはしょりを作ってその重さを支えるので、ゆるいと着物がぐずぐずになってしまうため。ただ、締めるのも背中側でしっかりしめて、お腹側はキリキリには締め付けません。

 他の紐はギュっと結ぶというより、太めの紐を丁寧にひらいてあてて、面で押さえるというイメージです。腰紐以外は結ばずにからげるだけにすることもあります。ただゆるいだけだと、してもしなくても同じになってしまいますから、適度な押さえになるように。このあたりは、感覚と慣れでしょうか。

 もうひとつ、苦しくなる元凶が帯枕の紐。ガーゼで作った大きな結び目の玉がみぞおちにヒットするとこれほど苦しいことはありません。パンチでえぐられているようなものです。必ず左右どちらかに結び目をずらして、紐はなるべく帯の中に深くしまうようにしましょう。枕紐の素材を変えるのもおすすめです。

 着付は、案外思い込みを捨てるとラクになること、変わることたくさんあります。たまには、YOUTUBEの動画をみたり、他の人の着付を研究してみると面白いです。胸紐ひとつにしても、モスリンの紐、木綿の紐、絹の紐、博多織の伊達締め、ゴム‥‥しないという選択肢だってあります。私も日々、ラクにキレイに着られる方法を研究中です。

 ちょっとしたことですが、人それぞれ楽な方法が違うのです。自分にあっている方法、まだまだ他にあるかもしれませんよ。

やっぱり可愛い☆矢絣は若い女子しか着ちゃだめですか?の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 寒くなってまいりましたね! 着物のときには足袋下ハイソックスとアームカバーが手放せないわにこです。

 さて、先日ゲームマーケットに参加してきたのですが、フォントかるたというかるたの売り子だったため、やっぱ袴でしょ!というわけで袴姿でいってまいりました!

 袴といえば、やはり矢絣の小紋にあわせたい!と矢絣の小紋に黒い袴をあわせてみました。

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 なぜ袴といえば‥‥かというと、大正時代に女学生たちの間で矢絣の御召に海老茶の袴姿が流行し「海老茶式部」と呼ばれたそうで、そのイメージが強いせいでしょう。マンガ「はいからさんが通る」でも、主人公の紅緒さんがこのスタイルでしたよね。先日の「はいからさんが通る」展に袴ででかけて以来、すっかり袴スタイルがお気に入りになっております!?

 他に矢絣の着物というと、大奥の女中さんたちの姿も思い浮かべます。

 矢絣は矢羽根絣、矢筈絣などとも言い、矢は射たらまっすぐ飛んで戻ってこないことから、嫁入りに持たせると出戻ってこない縁起柄とも聞かされてきました。これについては、辛かったら戻って来てもええんよ、とも思いますが(笑)それはさておき、よいところにお嫁入りできるようにということだったのでしょうね。

 弓矢の模様は破魔矢などを連想させ、魔除けとして男子の着物の柄などに使われていますが、この矢絣については、行ったきりにならないように‥‥という願いから戦争にいく男性には着せない持たせないものだったそう。

 魔を払い、まっすぐに、遠くに飛んで行く矢。模様に込められた様々な想いを知ると、身につける時に気持ちも変わる気がします。

 大きな矢絣に花等様々に華やかな模様を使った崩し矢絣などもありますが、いずれも「若いお嬢さん」というイメージが強い、可愛らしい柄です。

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 実はそんなに矢絣に対しては思い入れもなく、普段は敬遠していたのですが、いざ着てみると、やっぱり可愛くてテンションがあがります! なんとなくハートがいっぱい飛んでるみたい。なんでしょうかこの若やいだ気持ち!!

 フォーマルな場でなければ、自分が嬉しかったり楽しかったりすれば、年齢などにはとらわれずに好きな柄を身につけても構わないと私は思っています。だってファッションだから! 楽しんだもん勝ちではないでしょうか。

 そして、知識として「この柄はこういうものである」と知って楽しむのとそうでないのとでは、楽しみの奥行きが全然違ってくると思います。

 とはいえちょっと恥ずかしいわ、なんて思うときには、帯締めや帯揚などにさりげな〜く好きな模様を取り入れるのもいいですね。

 着てみて矢絣の魅力再発見!でした。やっぱり着物は、着てなんぼ。好きなもの、どんどん着てみよう!と思う年の瀬でした。

単衣の着物に「居敷当て」つける?つけない?の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 気がつけば9月ももう終わり。秋晴れの日にそろそろ観念して浴衣や洗える夏物を洗ったり、お手入れに出したりして衣替えに備えています。自分で洗うときはもちろん、お手入れに出すときも、なるべくシミや汚れを事前にチェックしておくとよいですね。

 そんなとき、時々あっ!と思うのがおしりのあたりの背縫いの「被せ(きせ)」(縫い目よりすこし余裕をもって布を折ってある部分)が開いて、縫い目が広がっているものがあること。

 ピッタリ着付けて立ち座りが激しかったり、仕事や踊りなど動作が激しい場合はこの部分が広がってきやすく、酷いときは裂けてしまったりすることもあります。

 ちょっとキケンかも!と思うような状態のものを発見したら、それを防いでくれるのが「居敷当て」です。居敷当ては、後ろ身頃の下半身部分だけにつける当て布。これがあることで補強になり、おしり部分の表地に力が直にかからなくなり、縫い目の開きを防いでくれます。

 また、夏物や単衣では足が透けて見えたりするのを防ぐ効果も。また紬などの場合、足さばきもよくしてくます。

 ウールなどの普段着の場合は、よく30センチ〜40センチ四方くらいの共布でおしりの部分だけに居敷当てがつけてありますが、この場合は縫い目が表に出てしまうので、別布で後ろ身頃全体もしくは体の幅(共布=反物の幅)くらいにつけるものが多いです。

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 居敷当てをつけることのデメリットは、布が1枚増えるので暑い。別布でつけると洗濯の時に表地に収縮率が変わることがあり、お手入れに注意が必要。生地代、仕立て代がアップする、などがあります。あと、長襦袢を透けさせて楽しみたい着物などにはつけるとそこが透けなくなってしまいますのでNG。

 でも、この居敷宛があると安心して着られるのですよねー。それに、透けが防げるので、暑い時期にうそつき襟にステテコ1枚で着られちゃうので結果暑くない! なにも知らないときは「料金が高くなる」という理由でケチってつけなかったのを、後悔しています。
 
 基本仕立てる時につけるものですが、探せばお直しをしてくれるところもあるので、あとからつけてもらうこともできます。

 これからもし、次のシーズンの単衣や夏物のことを考える時は、居敷当てのことをちょっと思い出してくださいね(^^)。着物の素材によってふさわしい居敷当ての種類も変わりますので、お仕立ての時に相談してみてください。

 まだまだ日中暑いのでしばらく単衣は手放せそうにありませんが、朝晩は着物でおでかけによいかんじになってきました。秋の着物も楽しんでくださいね\(^O^)/

着物のしつけを外す☆飾りしつけと普通のしつけの巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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  9月に入ってすっかり秋めいてきましたね。もう夏着物には手が伸びず、単衣を着ることも。やっぱり、涼しいと着物が楽で楽しいです。

 着付のお仕事もオンシーズンになります。先日は秋の結婚式出席のための留袖と訪問着着付のご相談をいただきました。留袖、訪問着のコーディネート相談も含めて、事前準備のため伺ったのですが、留袖は今回初めてお召しとのこと。しつけがついていました。

 しつけはそもそも、着物を仕立てた時に、布を落ち着かせるためにするもの。

 袖や裾に一目落としでついている、大きな縫い目のしつけはとりますが、留袖や振袖など礼装には「ぐし」と言って、掛け襟や袖口、裾などに細かい縫い目で白いしつけがしてあるものはこのままで使います。

 これを間違ってとってしまうと(本当に細かいので、とるのはすごーく大変だと思いますが)押さえがなくなるので、フカフカになってしまいます。

 一方、大きなしつけのほうは、とって着るもの。ついていると、「あら、とり忘れ」と思われてしまいます。初めて着る着物などは、前日に見てチェックしないと取り忘れて当日あわてることも。

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 新品でなくても、丸洗いなどのお手入れのときにこのしつけをしてあることもありますので、久しぶりに袖を通す着物は必ずチェックを。意外と着てから「あっ!しつけついてた(ガーン)」となることもあるあるですよね。

 こうなると、あわてて着たままとったり、一部取り忘れたり‥‥。そしてそれがずっとそのままだったり‥‥(えー)。

 でも、他の人のしつけとり忘れは目についちゃったりするんですよね〜。しつけの糸の縫い始めのところが、とりきれずにピロ〜ンと出ていたりすると「お仲間‥‥」と勝手に親近感を持つ私です(^^;)。

 本当は、ちゃんと前日に落ち着いて着物のチェックをすべきだとわかっているけどなかなかできなかったりしてしまうのですが、実はとてももったいないこと。

 落ち着いて前日着物のしつけをとるときは、とても幸せな気持ちになるものです。新しい着物やきれいになった着物に袖を通すワクワク感のせいでしょうか。この事前の準備の時間も含めて、着物を纏う楽しみなのではないかと。

 お客様には、前日留袖のしつけをとって、ハンガーにかけて大きなシワをのばしておいてくださるようにお話しました。

 あとはこれが結構忘れがちな襦袢の半衿つけ。どんな半衿をつけたらいいかや、帯締め帯揚げや小物などもご相談にのりました。草履バッグまで入れると本当に結構な数のアイテムを準備しなければならないんですよね。コーデだけじゃなくてヘアセットとか持ち物とか予定とか‥‥でもこの準備がまた楽しい!

 普段から着物をお召しになるお客様でしたので、お話も早くて、当日の準備や足りない物についても確認がきちんとできました。晴れの席の準備は、お話を伺うほうもお裾分けをいただいて本当に幸せな気持ちになります。

 この準備の時間を含めて「お祝いの儀式」なのだなあと実感。お手伝いさせていただけることに感謝です。精進せねば!

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 留袖のしつけを見せていただくと、おくみの裾のところに「松葉飾り」がしてありました。おめでたい席の着物だから、おめでたい松のモチーフが使われているのですね。この「松葉飾り」は飾りといいながら、とるしつけです。

 とってしまうものなのに、この美意識と心遣い。日本の文化って素晴らしいなあ〜と感動しました。比翼のほうにも同じように松葉飾りが入っていましたよ。その着物を纏う人が、幸せでありますように‥‥そんな祈りがこめられているように感じました。

 最近はなんでもアリで簡単にすませてしまいがちですけれども、丁寧に準備をすることの大切さ、有難さを再確認。着物は、忙しすぎる毎日に、ちょっとブレーキをかけてくれるものなのかもしれませんね。もし着物を着られる機会があったら、ぜひ袖を通していただきたいなあと思う秋のはじめでした。

流行ってる!レースの羽織は便利です☆の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 先週はこのコラムを病欠してしまい、大変申し訳ございませんでした。毎週毎週ギリギリでもなんでも担当の皆様に助けていただいて続けていたのに、お休みとなってしまい本当に無念です。月初めにひいた風邪が全く治らず、ぶりかえして結局1週間くらい寝込んでしまいました。地味に流行っているようですので、皆様も風邪にはお気をつけくださいませ(><) 

 流行っている、といえば一昨年くらいから、レースの羽織を着ている方をよく見かける気がします。最初は黒、白だったのが、最近はカラフルで模様も様々。バリエーションが豊かになっています。2枚目をお探しの方も多いのではないでしょうか。なぜこんなにレースの羽織姿が増えたかというと、思うに‥‥‥

 便利だから!

 なにが便利かというと、「季節を(かなり)問わない」ということでしょうか。

 羽織は、ちりよけにもなりますし、帯結びに自信がないときや着付のアラも隠してくれる強い味方。コーディネートや羽織紐でもおしゃれ度もアップしますし、取り入れたいアイテムではありますが、着物や帯同様、着用時期が気になります。

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 このコラムをPCで見た時に「人気記事」というのが5つ見られるのですが、よくランクインしているのが2014年の4月に書いた羽織の着用時期についての記事。


 袷、単衣、薄物の羽織の着用はいつごろなのかを書いたのですが、レースやシースルーはスリーシーズンOK、となっていますね。

 これが同じスケスケの旧来の紗や絽の羽織の薄物であれば、かなり季節が限定されます。紗は5月から9月OKですが、実は同じ薄物でも絽の羽織は「絽目があるものは夏物だから」という理由で、6月中旬から8月一杯と言う厳しい旧来のルールが適用されがち。

 そうとも知らず、薄物の羽織があったら便利なのに!と、ヒトメボレした絽の生地で長羽織を作ったものの、なかなか袖が通せていないワタシです。トホホ。

 体感でいいじゃないのと言いますが、なかなか「決まり」がある、しかも着物と違ってプラス要素でわざわざ着るものですからルールを崩すのにはちょっと勇気が。しかも、その時期、暑いですから! いくらちりよけと言ってもなかなか出番がありません。

 一方、レースの羽織は、ぐっとくだけたかんじになりますので、素材感さえ問題なければもう年中着ていても許されてしまうほどオールマイティ。浴衣にオンして楽しもう、という提案もあります。レースの半衿が季節関係なく使えるのと同じですね。

 レースだけでなく、シースルーなど透ける素材の洋服地で作った羽織も同じように扱われることが多いです。これらの羽織は、広幅の生地で作られますので、背縫いがないことも。個人的には背縫いがあったほうが、キリっとして好みですが、必要のないものは入れなくてもよいという考え方もアリです。

 いち利モールでもオリジナルレース羽織「ふわり」の種類が増えていて、どれも素敵で迷ってしまいます‥‥背縫いもあるタイプだし‥‥しかも今なら10%オフ‥‥こうやって迷っていると人気色からなくなっていくので、早く‥‥ああっでもっ‥‥と毎年煩悶している私です。「ふわり」のシリーズもいいんですが「しゃなり」のシリーズも捨てがたい‥‥‥!!

 こうして悩んでいる間に、時が過ぎてしまうわけですが‥‥。最近は、もうズバっと買ってしまってバンバン着たほうがいいよね!と思いつつも、絽の羽織の失敗が尾を引いていて、ここまで引っ張ってしまうともうなんだか踏み出せなくて‥‥。神様、私に勇気をください! いやでもセールになってるあれも欲しいしこれも欲しいのでどうしたらいいですか!(知らんがな:神の声)

 これからの季節、いえずっと、ますます活躍しそうなレースの羽織。黒や白のオーソドックスなものを持っている方も、その便利さに新作の中からもう1色、違う色目が欲しくなってしまうのではないでしょうか。とすると、これから1枚目を買う私はどの色を選んだらいいのか!!!

 この煩悶も、まだまだ続きそうです(苦笑)。

夏の帯枕はへちま?麻?それとも新素材?の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 関東も梅雨入りしましたね。雨も気になりますが、とにかくムシムシと暑いのが辛いこの季節。すこしでも爽やかに着物が着たーい!

 着物、帯、インナーはもちろん、着付け小物も涼しい素材が気になりはじめます。メッシュのものなどもありますが、夏素材のクイーンはやはり「麻」でしょうか。

 麻は熱伝導性に優れ、通気性、速乾性もあり、天然繊維の中で最も涼しいと言われています。しかも自分で洗える! 本当に魅力的な素材です。ハリがあるので、体に張り付かないのも涼しさの一因。そのかわり、すこし肌あたりがきつかったり、着膨れして見えるのが弱点。

 着付け小物にももちろん麻のものがあります。腰紐や伊達締めはもちろん、帯板、麻わたを使った帯枕や補整も人気です。

 もうひとつ、夏になると急に欲しくなるのが「へちま」。スポンジ状で通気性が非常によく、熱がこもらないので、夏の帯枕といえば「へちま」は不動の人気です。帯板などもあります。へちまの帯枕は自作!という方も。

 自作と言えば、めちゃめちゃ暑い日にはタオルを巻いて帯枕をつくって、その中に保冷剤を入れるというテもあります。でも保冷剤は溶けてしまうので、あまり長時間向きではありません。

 たかはしきもの工房の帯枕「空芯才」も人気があります。中に立体メッシュ素材が使われていて、通気性がよくてやわらかい。枕の長さがあるので、帯山の形が決まりやすく、背中にフィットするのでもたれたりしても痛くない。帯枕は固いものだと思っている方、目からウロコですよ。

 その上、なんと洗濯できちゃう。意外と帯枕は汗を吸っているので、洗うとさっぱりします。特に夏向きというわけではなく通年仕様ですが、これが一度使ったらやめられません。私の周りでも、ほとんどのキモトモ(着物友達)が使っています。

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 私は、夏は空芯才とへちまと併用しています。へちまのほうが少し軽くて、背中への密着度がないので少し涼しい気がします。なのでカジュアルで気楽な帯のときなどはへちまで。形をきちっと決めたいときは空芯才です。

 でもやっぱり固い帯枕を使うと背中が痛い‥‥。のでやはり空芯才の出番が多いでしょうか。

 それから、帯枕は素材だけでなく、その形も注目したいところ。

 帯のお太鼓の形はお好みがあると思います。短めで丸みがある枕で帯山が丸みをおびていたほうがいいという方、まっすぐなのがいいという方。その好みの形にも帯枕は関係してきます。

 また、一般的に若い方は大きく高く、年齢を重ねるに従って小さく低く、というのが帯枕のセオリーです。そのほかに、礼装は高く華やかに、カジュアルは低めに、というものもあります。

 特に夏帯に多い、薄くてやわらかめの素材は、帯山の形に枕の形が影響しやすいですから、どんな時に使うかに気をつけて選ぶとよいでしょう。

 夏に限らずですが、意外と着付の小物は家にあったもの、最初にセットに入っていたものなど、そのまま使っている場合が多いです。小物類も、新しいものや新素材のものに変えてみると、びっくりするくらい着心地が変わる場合があります。涼しい素材にも目をむけて、着付の小物類を見直してみませんか?

「胴抜き」仕立てで暑さ対策。天候別コーデの巻 ~着物大好きコミックエッセイスト ほしわにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 東京はいきなりの真夏日になったりして、もう袷が暑い!?という今日このごろです。穏やかな春はどこにいってしまったのでしょうか?

 先週の金曜から3日間、仕事で着物を着る機会があったのですが気温が高く、初日からもううそつき袖も単衣に替えて、今まで重ね着していたインナーも減らし、肌あたりがさらりとしている大島紬で出かけました。でも、まだ冷房が入っておらず何とも生温いかんじ。

 2日目は、袷は無理と判断して胴抜き仕立ての着物にしました。「胴抜き」とは、袷の時期に着るように、袖の裏や衿裏、八掛(裾まわし)はついているのですが、胴裏がありません。これは、去年洗い張りをして仕立て直すときに、張りが強い生地だったので「胴抜きにしたら?」と勧められたものです。

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 胴抜きは、袷の時期だけど暑くて‥‥という時などに活躍してくれます。暑がりだから、冬もずっとこの仕立て方という方もいます。

 また少しでも胸元のボリュームをすっきり見せたい人、着物の生地が厚ぼったいときなどに有効な仕立て方でもあります。スリムな人には向かないこともあるかもしれませんね。

 ちょっと張りの強い生地だったので、前より着心地がアップした気がしますし、暑さ対策という点でもやはり胴裏がない分快適でした。あとで聞いたらなんとこの日26度にもなっていたとか。室内にいたのでそこまでは感じませんでしたが、いやあ、お客様もタンクトップの方がいたわけだわ!と納得。

 ひとつ欠点があるとすれば、胴裏がないので汗などダイレクトに着物の生地に響いてしまうということでしょうか。まあ、でもこれは単衣仕立てでも同じことなので、そんなに気にする事もないかなと思います。

 これだけ袷の時期に暑い日が続くようであると、もっと胴抜き仕立ての着物が欲しいかも。冬も、東京ではそんなに寒くもないですし、室内に入れば暖房で暑いこともあるくらいですから、暖かさはインナーなどで調整して、着物は胴抜きでもいいのかも、などとつらつら思いました。

 3日目は、雨予報だったので洗える着物で。暑さはそんなに感じませんでしたが、やはり着心地はあまりよろしくなく。でも、夕方から遠慮のない雨! 風が強いので傘をさしていても意味がなく、駅からポリの羽織の前をあわせて帯をガードしてブローチで留めて、家まで10分歩いて帰ったら全身ビッショリでした。そのまま洗濯ネットに入れて手洗いモードでお洗濯。次の朝には乾いていて、有難い!!

 そんなわけで図らずも3日間、天気を見ながら違う着物に袖を通したのですが、同じ帯で通してみました。木綿の帯なのですが、春のお花畑みたいで今の時期、とってもしたい帯ナンバーワンなのです。着物は、気温だけじゃなく色柄や雰囲気でもこの季節に着たいというのがあって、そこが悩ましくて楽しいところ。帯締・帯揚もちょっと替えながら、どうかな〜とは思ったのですが、意外と飽きずに(笑)3日間過ごせました。

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 こうして見ると、あんまり変わらないですね(笑)でも、着心地は結構違いましたよ〜! 

 カジュアルシーンだったらもう単衣だっていいのですが、仕事だとそうもいかないときもあります。機会があったら胴抜き仕立ての着物は増強していきたいな、と思った春の真夏日でした。

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