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豪華絢爛!能衣装の美 幽玄の世界へ誘われてみたよ〜の巻 ~ 着物大好きコミックエッセイスト ほし わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 先日、銀座能楽堂へ「能への誘い」というイベントにいってきました。京都の能楽師、吉田篤史先生による能初心者へのお能の魅力ガイダンス。わたくし、なんと今回5回目の参加です(永遠の初心者(汗))。

 能は、室町時代から続く、仮面劇・扮装劇であり、音楽・詞劇。謡の詞も変わることなく700年、そのままの形で受け継がれている世界的にも希有な演劇です。

 先生による解説の後、仕舞(能の見せ所を面・衣装をつけずに演じる)と、能装束を実際に着付ける実演がありました。

 能装束はご存知の通り、唐織などの豪華絢爛なものが有名。その美しさはやはり憧れです。能衣装の文様を写した唐織の袋帯などもありますね。


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キャプション:ロビーに展示されていた細川家伝来能衣装 金地撫子ニ蝶文様唐織の写し(部分)。豪華絢爛です! 家一軒くらい建つ金額らしいです!

 着付を勉強している身としても、目が釘付けです!

 実際の衣装の着付は、役者同士で楽屋で行うそう。役者さんは着付もできなくてはなりません。紐の締まり具合は「おしまり」と聞いて確認し、位置は「おあたり」と言って確認するそうです。

「苦しくないですか?」というかんじでしょうか。

 今回は、若い女性の出立(いでたち)。男性である能楽師さんが、どう女性の扮装をしていくのか。

 まずは体型補正と装束の保護のため、汗とりを兼ねた胴着という真綿に絹を挟んだ下着をつけて、その上に織箔(摺箔にする事も)という、金糸で模様をつけた着物を着た状態で登場。

 そこから、先生が手際よく、美しく能装束を着付けていかれます。

 大口(袴)を履くときは「ばね」というY字型の木の支えを使い、腰のところを大きく高く張るようにします。

 そして金箔に藤の模様のはいった腰帯(飾り)をつけます。腰帯は、上に長絹(上着)を羽織ってしまうと隠れてしまい、舞う時に長絹が翻るとちらりと見えるだけ。それも美学ですね。

 次に、鬘(かずら)をつけていきます。形になっているものをカポっとかぶるのではなく、長い髪が紐につけられ、ただ垂れている状態になっているものを、頭にかぶせて紐で固定し、髪型を作り、後で一つにくくって「元結(もっとい)」という白い紐で結います。

 美しく櫛で整え、鬘帯をつけます。この鬘帯、着物のモチーフとしてもよく使われていますね。「鬘帯文(かずらおびもん)」という言葉は聞かれたことがあるのではないでしょうか。紐状のモチーフの中に、様々な古典的文様が描かれるもので、袋帯の文様や友禅染めによく使われます。

 この、髪型を整えるのも毎回、舞台のたびに行うのだそうです。

 そして長絹(ちょうけん)を羽織ります。直垂(ひたたれ)に似た、絽地の能装束で、今回は、白地に美しい藤模様のものでした。

 舞うときにはだけないよう、胸元を縫いとめ、胸紐を結びます。

 そしていよいよ、面(おもて)。能において、面は神聖なもの。いただいて、厳かに面をかけます。こうして役者は役と一体になるのだそう。

 今回は「若女」という若い女性の面でした。

 能面は、見せていただいたときに驚いたのですが、びっくりするくらい目の穴が小さくて視野が狭く、口の穴も本当に小さくしかあいていません。一種の極限状態の中で、役に入り切って演じるのでしょうか。

 面をつけたら、扇を持たせてもらって(この扇には表裏があり、自分では確認できないので、持たせてくれた人を信頼するしかないそう(笑))、美しい佇まいの女人となりました。


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キャプション:着付の実演、美しい着装と最後の始末まで、素晴らしい手際に感動! 
 

「春の夜の 闇はあやなし 梅の花
 色こそみえね 香やは隠るる」

「東北(とうぼく)」という演目の和泉式部の霊。

 さわりの謡を、観客も声を出して一緒に謡わせてもらって、和泉式部の舞を堪能。中身は男性のはずなのに、梅の香が薫る中、僧の夢の中に現れた美しい式部がそこに。すごい‥‥‥!!

 そして、声を肚から出して謡うのも気持ちいい!!

 舞も、かっこいい!!

 日本人のDNAに組み込まれている「これカッコイイ!!」を狙い撃ちされたみたいな気分です。も、ほーんと、中学校でヒップホップダンス必修とかやるくらいなら、仕舞必修でしょう!!浴衣で仕舞でしょう!!(鼻息)と真剣に思いました。

 この日は子どもと一緒に行ったのですが、途中で寝てしまうかとおもいきや、装束の着付など食い入るように見ていました。今日のこと、なにか心に残ったらいいなあと思いながら、感動の余韻を胸に会場を後にいたしました。一緒にいってくれた友人も「謡、やりたーい!」とキラキラ。わかるー!! 

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 現代の着物にも、能のモチーフはたくさん取り入れられています。般若、翁の面だけじゃなく、鬘帯や唐織など、ちょっと気にして探してみると面白いかもしれません。

 お能も、演目にちなんだモチーフを取り入れた着物のコーデで鑑賞に行けたりしたら上級者ですよね。でも、いつも鑑賞中に睡魔に襲われてしまう私‥‥。でも観客がものすご〜くリラックスして眠りに誘われるのは、その舞台が素晴らしいからだそうですよ?(言い訳?)

 難しいとばかり敬遠しがちな能ですが、物語ばかりでなく、美しい装束や面の鑑賞も楽しみのひとつです。歌舞伎や文楽とはまた違った魅力の伝統芸能の世界に触れてみませんか? 
 

和×Art わーと日本橋で着物の森に迷い込む の巻 ~ 着物大好きコミックエッセイスト ほし わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 いきなり初夏のようになり、単衣に手が伸びる今日このごろ。GWは皆様いかがお過ごしでしょうか?

 5月2日からコレド室町で「わーと日本橋」というイベントが開催されています。もうおでかけになった方もいらっしゃるかもしれません。和×Artなので着物だけではないのですが、和が楽しく身近に感じられるイベントとなっています。竹のあかりのオブジェや空中茶室、宝塚をどりの衣装展示などの他に、「きものコーディネートの森」があります。
 なんと200点近いコーディネートがトルソー展示で一気に見られる企画です! メーカーや小売店だけでなく、きものを愛するいろんな人たちが、イチオシコーデを出品しています。

 今回わにこはコーディネートは出品していないのですが、このコーディネートのトルソー着付スタッフとしてお手伝いに入りました。

 2日間に渡って、朝から晩まで黙々とトルソーに着付ける人々。トルソーへの着付は展示用の場合、帯結びもちょっと特殊で、なるべく痛めないように着装していきます。終わった時の達成感はすごかったですが、もう手首も指も頭も使いすぎて限界でした。なにもかもがパンパン(笑)。

 出品者さんから着物と帯ほか着付小物までセットにして送っていただくのですが、「帯枕がありません!」「衿芯がありません!」などというトラブルは当然あり。

 帯枕はプチプチで形を作って。衿芯はコピー用紙をナナメに折り畳んで長くし、見える場所だけでも固くする、などなどあるもので対応していきます。

 帯揚の模様はココ出して!のような指定もあり四苦八苦。帯も、どこを見えるように出すか、など着付って本当に本当にセンスが問われる作業なんですね。体力だけでなく、なけなしの知恵と気力を振り絞って頑張りました。

 そしてトルソーはいわゆる和装用のふかふか寸胴二本足なで肩の子ではなく、バリバリ洋装用でツルツルの子たち。ぷちぷちで簡単に補正して着付けるのですが、滑る! そしてスタイルがよすぎて泣かされる! そしてどんどんやらないと間にあわない!

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 このナイスバティ達との死闘が繰り広げられました(笑)

 一緒に着付けているのは本当に「先生」がたばかりで、もうもう、それはそれは美しく、早く着せ付けていかれます!! 仮絵羽やモデル仕立て(反物を着物の形に仮縫いしてあるもの)をどんどん美しく着せ付けていかれます。仮絵羽のものなどは衿のところを特別なやり方で留めて行きます。鮮やかなお手並みに、感嘆の声しか出ませんでした。

 振袖やお引きなども美しく着せつけられていき、本当はずっと見学していたいくらいなのですが、自分も微力ながらお手伝いせねばならないので、なかなかそんな余裕もなく。任せていただいたものに全力投球! でもう本当になにもかもを使い果たした二日間でした。

 そして同時に、未熟さを激しく痛感(><) 担当させていただいた出展者の皆様に菓子折りをもって頭を下げに行きたい気分です。今回、着付した人の名前もわかるような展示になっているので、私の名前を見かけたら「これか‥‥」とご覧になってくださいませ。担当したコーディネートはどれも本当に素敵でした。

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「これを見て欲しい」という気持ちで選ばれたコーディネートですから、見ている方にもそれが伝わってきます。コーディネート一式が詰め込まれた箱からはいろんな想いが飛び出して来て、それを伝えるお手伝いをさせていただいているんだという気持ちになりました。

 そしてマネキンがズラリと並んだ姿は圧巻!! 展示は四季にわかれています。特に夏が充実しているので、これからのコーディネートの参考になります。

 普段、着物を着ている人に会っても、よっぽど親しくないかぎり、上から下まで後ろから前からじろじろ見る訳にはいきませんが、トルソーちゃんなら大丈夫! 心ゆくまで眺められます(笑) 写真や、衣桁にかけてある状態よりも、ずっとずっとその着物「らしさ」がよくわかります。

 そして動かないトルソーに簡易なプチプチ梱包材の補正だけで、美しく布を纏わせる。「着付」というお仕事の奥の深さ、専門性を目の当たりにしました。そのあたりも、ぜひご注目ください!

 このゴールデンウィーク後半戦、日本橋へきものコーディネートの森に迷い込みにいってみませんか。一人でお気に入りハンティングにでかけても、友達とわいわいおしゃべりしながら見ても、きっと新しい発見があるはずですよ! 

 

http://wa-art.net/
 

おきものチャリティバザールのおはなし の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト ほし わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 もうすぐ3月11日。4年前、皆さんはなにをされていたでしょうか。私は休みをとって、午前中に家族でずいぶん遅い七五三の記念写真を撮影し、午後、子どもと二人で家にいるところに2時46分がやってきました。


 続々と届く被害状況の大きさの情報に驚き、節電で暗い街中と余震に怯えた日々は思い出すと胸がつまります。東京で、被害はさほどなかったにも関わらずこんなにも気持ちが塞がれるのに、被災された皆さんの気持ちを思うと言葉を失います。失われた命は戻ってこないし、そしてまだ解決していない問題も、復興も、道のりの途中なのです。


 震災のすぐ後、所属しているクリエイターグループでグッズを作って売上をチャリティにしようという話が持ち上がり、手仕事で作ったグッズをネットで販売しました。不安な気持ちの中で、やることを見つけて、動いた事は自分たちの気持ちも落ち着きましたし、ほんの少しでも、被災地の役に立てればと始めたことでした。


 その後、形を変え、場所を変え、その時に参加できるメンバーで続けて来たチャリティイベント、8回目を迎える事になりました。いよいよ今週末金曜日から「WASRENAI2105」と題して、友人と共同運営している東京・中野の新井薬師前「昭和な家」での開催となります。今までで一番たくさんのクリエイターさんが参加してくれることになり、ワクワクしています。


 私のできることが、好きな着物に関連したことということで5回目と7回目は、着物のチャリティバザール(略してきもチャリ)でした。不要な着物を寄付していただき、販売して売上を寄付する。手探りで始めましたが、着物好きの皆さんの気持ちに支えられ、開催することができました。


 今回は、6日にプチきもチャリとして、少しだけワンコイン着物などを販売します。それから8日には変身☆写真館として振袖で写真をとるお嬢さん(昔のお嬢さんも含む)の着付を手伝います。


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 過去のきもチャリを思い起こしてみると「やってよかったな」と思える事がたくさんありました。


 売上が被災・津波遺児の未来に役に立ててもらえるのはもちろん、箪笥の肥やしの着物たちが、日の目を見ることができるし、なにより、皆さん自分に似合う着物をちゃ〜んと見つけ出してきて、鏡の前で羽織ったときのその笑顔が見られるのが本当に嬉しかった!


 自分の好みで「この着物はどうかな?」と勝手に思っていた着物にも、ちゃ〜んとピッタリの人が現れるんです。本当に、不思議なんですよ。昨年秋のきもチャリでも、最終日に「とっても若向けの着物と喪服が結構残っちゃったな‥‥」と思っていたら、和太鼓をやってます!という若いお嬢さんが現れて、お似合いの着物達をどっさりと。喪服はスキンヘッドの美女が洋服の上にチャチャッと羽織って「いただくわ!」とお嫁にもらってくださいました。それがまた、喪服には全く見えず、黒がとってもファッショナブルで惚れ惚れ。


 どんな着物にも、似合いの人が待っている! そう思いました。着物もとっても嬉しそうで、見ているスタッフも思わずにこにこ。


 着物って不思議なもので、皆似合うものが全然違うのですよね〜。同じ形のものなのに、着ると個性が鮮やかに浮き上がってくる。


 チャリティというと、いろんな考え方があって、自分でも、果たしてこれは役に立っているのかな? ただの気持ちの押しつけでは? イベントをするよりも、直接稼いだお金を寄付したほうが早くない? 偽善? など色んな考えが頭をよぎりますが、自分が生活している場所で311を忘れないで、できることをしていこうという気持ちを,参加してくださる皆さんと共有できたらと思って、自分にできる範囲での参加を続けています。無理をするより、長く続けられるほうがいいと思うからです。


 忘れないで、支援の活動を続けている方は全国にたくさんいます。同じ今週末に、大阪で続けられている「東日本大震災チャリティきものバザー」があります。キモトモが毎年スタッフとして参加されていますが、ボランティアでこれだけの規模のイベントを続けられていることに、本当に頭が下がります。そして、着物好きさんたちのパワーを感じます。


http://kimonobazaar.blog.fc2.com/


 お近くの方はぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。好きな着物をゲットして、チャリティにもなったらなんだか嬉しいですよね。


 もうひとつ、震災後は余震もあって着物を着る事がためらわれるような空気がありましたね。オトナの振袖♪ なんて遊びができるのも、平穏無事な毎日でなければできないことなんだなと、改めて感じています。そしてそんなことで、無理矢理だって笑顔でいるうちに、本当に笑える日が、絶対来ると信じています。


 年を重ねてきて、生きるということはいいことばかりではないし、時には「どうしてこんな目にあわなくちゃいけないのかな」とこぼしたくなることもあります。でも、皆多かれ少なかれ、辛い思いや傷を抱えている。生きている限りは生きていかねばならないのだから、ワハハ!と笑い飛ばしていけるように、強くありたいとこのごろ思います。なかなか思うようにはできない、ヘタレな私ですが……。


 また今回のフラーレンのイベントは、着物チャリティは金曜日のみですが、連日素敵なグッズやワークショップが盛り沢山です。興味のある方がいらしたらぜひ、遊びにきてくださいませ。


 わにこも会場で、お待ちしております\(^O^)/


http://f-ren.com/pray-for-japan/wasurenai2015/


「染の小道2015」開催!のれん染色体験しました\(^O^)/ の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト ほし わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 急に暖かくなり、自転車を走らせていると梅のふくよかな香りが漂ってきて、春を感じる今日このごろ。三寒四温といいますが、気温の上下を繰り返して本格的な春がやってくるのでしょうね。

 そんな早春の今週末、染色産業が盛んな新宿区中井で恒例の「染の小道」が開催されます。昨年は、紅型染めのチャレンジしてのれんを制作したり、いち利モールさんのイベントでも皆様と散歩させていただいたり、楽しかった! 皆さんのお着物姿が、街に溶け込んでいました。着物が似合う街、中井です。

http://ichirimall.ldblog.jp/archives/37327996.html

 今年は個人でのれんの制作はしなかったのですが、昨年のワニのれんは、のれんアーカイブとしてギャラリーさくらさんに飾っていただけることになりました。
 
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 また、「百人のれん」として、染めの体験ができる講座が毎年秋に開催されています。今回は昨年の秋に友禅の制作過程を東京友禅会の皆様のご指導で体験させてもらいました! のれん作家さんだけでなく、このように体験講座での参加もできるのが嬉しいところ。

 友禅は手描き。お絵描きは得意でしょと言われましたが、なかなか思うように線が出ません。まずは糊置きといって、予め描いていただいた下絵を糊でなぞって行きます。ビニールでつくったホイップ絞りのような形の小筒に糊を入れ、先を切って糊を絞り出します。これが均等な太さで出すのが難しい! 細くても防染の役割を果たさないし、太くても美しくない。プルプルと線が震えてしまいました(汗)

 
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 この糊を置いた部分は染まらないので、それ以外の部分に色を挿していきます。全体の色のバランスを見ながら、薄い色から挿します。染料を混ぜ合わせて好きな色を作るのですが、色の濃さは水で調整します。混ぜる水が多いと「はしり」といって水シミのような輪シミができてしまうし、濃すぎても塗りにくい。

 糊を置いた部分は白く抜けるので、それも想像しながらの色挿しです。ザ☆無難野郎の私は、実際の花の色を想像しながら挿しましたが、他の方は北欧風あり、想像の花風あり、同じ下絵でも全く違うものができていくのが面白かったです。

 糊落としや蒸しなどは先生方がやってくださって、受講生は染める楽しさを味わって、ということで、ひたすら色を選んでわくわくしながらの作業。最後には、金や銀でアクセントを入れました。デモンストレーションで、色とびした部分に金粉をまいたり、失敗した部分に金箔を貼って失敗も美しく仕上げたりという技も見せていただけました。

 すこ〜し金などの輝きが入ると、ぐっと絵に立体感がでてこれまた面白い。ついみっちり色々欲張ってしまいがちですが、やりすぎはNG。お汁粉に入れるほんのひとつまみの塩のような‥‥(すぐ食べる話にしてすみません)

 そういう目で、着物や帯を見てみると金銀、刺繍などがさりげなく、本当に絶妙なバランスで入れられて、模様をひきたてているのですよね。日本人ならではの、美的感覚だなあと感じ入りました。

 今年もまた、最後に湯のしで作品をべっぴんにしてもらい、皆の作品を縫い合わせてのれんに。「百人のれん」の友禅の花、自分もまだその仕上がりを見ていないので、すごく楽しみです!

 名前は入りませんが、実はわたくしこの体験染めの絵の桜の枝部分に、ワニさんを騙し絵のように描いちゃいました(笑)。目にキラリンと金が入っています。ぜひ、こっそり隠れているワニさんを見つけてくださいませ!

 
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 いよいよ今週2月27日金曜日からイベントが始まります。街の真ん中を流れる妙正寺川では昭和30年代までは実際に、染め物を水洗いしていたのだそう。その風景が甦ったかのように、川の水面の上にかけられる反物が風に揺れる様は本当に美しく、ぜひ見ていただきたい光景です。

 また街には97枚ののれんが一斉に飾られ、街全体が染めのギャラリーに変身。様々な染めの作品の中からお気に入りを見つけて下さい。お店にもいろんな特典やイベントが用意されていて、毎日通っても飽きません。このときならではのお買い得品もいっぱいです。

 今年は、学生サークル「ちえの小道」がガイドツアーを毎日無料で行っています。見どころをばっちり案内してくれますよ。染色工房では、染めの体験ができたり、展示会場ではファッションショーも。音楽イベントなども開催されますので色んな楽しみ方ができます。要チェック!

 中井には赤塚不二夫プロもあるので、運がよければウナギイヌの着ぐるみにも会えるかも!
 
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 当日も充実したパンフレットが配布されています。(ちなみにわにこのイラストも使っていただいてます(^^)v 見てね) 私もウロウロしていますので、どこかで見かけたら、ちょっと内気なので(ええ)どうか優しく声をかけてやってください。すごく喜びます!!

 ぜひこの週末は、着物で染の小道のお散歩を楽しんで下さいね!

チンドン屋さん体験!ついに振袖姿で街に出る(笑)の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト ほし わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 今年は例年より初雪のニュースがとても早いですね。そしてインフルエンザの流行も。予防接種をうつ間もなく早速、流行の先端をいってしまった我が家です。先が思いやられます……。

 さて今日は、先月の話になりますが「とうとう振袖で出歩いてしまった」事件(?)のおはなしです。といっても、この年で振袖でお出かけという暴挙に出たわけではなく(笑)、チンドン屋さんのお供をさせてもらったのです!

 最近はすっかり見かけなくなった「チンドン屋」さん。懐かしいわ〜!という方も多いと思いますが、私自身は人より狸が多い(嘘)岐阜の山奥育ちなため子どものころにはテレビでしか見たことがなく。上京してパチンコ屋さんの新装開店!というチンドン屋さんに遭遇したときは「これが!」と興奮したものです。

 鉦(かね)と太鼓のチンドンという賑やかな音、ゴロス(大太鼓)のドーンドーンと響くリズムにアコーディオンやサックスの哀愁あふれる旋律。なぜかじっくり見てはいけないような気持ちになるけど目が離せない奇抜な衣装にどきどき。ついふらふらと後ろをついていきそうになるのは何故なのでしょうか。

 そのちんどん屋さんと派手な着物で一緒に練り歩こう!という企画が持ち上がり、もちろん(?)参加することに!

 今年から友人と共同で昭和30年築という二軒長屋(通称「昭和な家」)を仕事場として借りて、セルフリノベーション(というと聞こえはいいがお金がないので自分たちで改装)しながらわいわい仕事をしたりイベントをしたりしています。

 その昭和な家がある商店街のおまつりで、なんと一ヶ月間毎週末ちんどんやさんが練り歩くことになり。せっかくなのでいろいろな趣向で、ということで着物好きの集まる私たちのところにお話がやってきたのです。

 ちょっと落ち込むことが続き、参加もどうしようか迷っていたのですが友人親子もきてくれて、「せっかくだから」と、なんちゃって和髪を結って派手な振袖に袖を通したら……あれ? 自然に笑顔に。なんだかとっても楽しいぞ?

 友達も最初は「いや私、ちょっと疲れてて……」なんて言ってたんですが、二人とも振袖に着替え終わる頃にはテンションがだんだん上がってきて……。 

 そしていよいよチンドン「のまど舎」の皆さんの後について、商店街をみんなが知ってる曲を演奏しながら練り歩き。子どもたちはかわいい着物姿、ちょっぴり緊張の面持ちで先頭のチンドン太鼓の後に続きます。振袖のいい大人たち(笑)は適当に木琴たたいたりチラシを配ったり。もう、我々びっくりするほどニッコニコに。


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 そして、ちょっと意外だったのが通行人の皆様が結構な確立でにこにこ話しかけてくれたり、手を振ってくれたりすること。商店街の皆さんも、お店から顔を出してくれたり。東京砂漠ってもっとクールかと思ってた!(田舎ものの誤解)。

 今の子どもたち、チンドン屋さんなんて知らないよね、受けるのかな? なんて内心失礼ながら思っていたのですが、音楽にあわせて、反対側の歩道を手をふったり踊ったりしながら一緒に歩く子たちがいたり。断然子どもたちが大喜びしてくれていました。

 そうなんだ! チンドン屋さんの魅力って、その目立つ格好や懐かしさではなく「音楽」が肝なんだ! と生で演奏を聴きながらしみじみ。

 まさにジャパニーズストリートミュージック。ちょっぴり物悲しくて、日本人のハートど真ん中にささるその演奏。1時間ほどの体験でしたが、その魅力にはまってしまいそうでした。

 最後に記念撮影で、チンドン太鼓を持たせてもらったのですが、10キロ近くあるそうで、これをつけての演奏&練り歩きは重労働(@@)プロの凄さを感じ入りました。

 
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(それにしてもうれしそうすぎる自分(汗))
 常々「出歩かなければおばちゃん(あ、言っちゃった)でも振袖着てもいいよね!」と主張している私ですが、とうとうこの日は思いっきり街を出歩いてしまいました(笑)楽しかったです! この開放感が病み付きに……なんて、スミマセンモウシマセン(汗)

 その後、ちょうど近所の神社で酉の市が開かれていたので参拝に。昭和な家スタジオのお仕事繁盛を祈願して熊手を購入、景気よく拍手を打っていただきました。

 着物を楽しんでいると、なんだか楽しいこともいっぱい起こってくるみたいです。

 時には決まりからちょっと外れた着物もよいもの。着物は着るもの、時と場所さえわきまえれば、どんな風に着たっていいんですよね。もっともっと、着物、楽しんじゃいましょう!
 

きものサローネin日本橋で自分のきものスタイルを探そう!の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト ほし わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 きもの好きの皆様ならもうチェック済みとは思いますが、今週末から来週にかけて、東京日本橋できもののビッグイベント「きものサローネin日本橋」が開催されます。今年で3回目のこのイベント、今回はなんと6日間! 週末、休日だけでなく、平日の20時まで行われているのでお仕事帰りにも気軽に寄れそうですね。


 今、どんどん再開発が進んでいる日本橋は、老舗と最新ビルが立ち並んで伝統と先鋭が面白い具合にミックスされている街。着物でおでかけすると、楽しい街です。広い大通りでも、ちょっと路地裏でも、不思議と着物がしっくりいと馴染む街。それは、江戸の昔から商業の中心であり、東海道の始点であった日本橋という場所のパワーのせいかもしれません。


 きものサローネはそんな日本橋の再開発を象徴する商業施設「COREDO室町」(前期)と「YUITO」(後期)で行われます。会場のあるビルには魅力的なお店もたくさん! COREO日本橋のB1には「日本橋案内所」があって、日本橋ならではのお土産も揃っています。


 おっと、日本橋の話ばかりしてしまいましたが、肝心の「きものサローネ」は、「とにかく着物が好き!」で意欲的な活動をされている作家、メーカー、卸、小売、着付師、スタイリスト‥‥と、とにかく着物業界の人たちが一同に会するイベントです。


 普段雑誌やネットで「これが気になる」なんて思っていたあの着物もあの帯も、あの小物も‥‥‥! 実際に手に取ってみられて、しかも作家さんやお店の方に直接お話が聞けるチャンス! これだけの規模で一般の人も見られる見本市はなかなかありません。


 しかも、とても気軽に入れます! お買い物もしなくてもいいんです。(あ、欲しくなったら買ってもいいらしいです(笑))。私もとっても楽しみにしています。


 出展ブースのほかにも、ステージがあってファッションショーがあったり、憧れの先生がたのトークショーがあったり! まさに、きもののお祭り、宝石箱やぁ〜〜〜〜!!(ヒコマロ)自分も毎日通いたいくらいです‥‥。


 今年は、前期後期で3日間ずつ出展や展示が変わります。2会場に分かれて同時開催だった昨年より、それぞれじっくり見られるかも。



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 前期は華やかなステージショーが目玉。振袖スキーな私は「ミスインターナショナル振袖きものショー」が気になって気になって(笑)(ファッションショーは事前予約あり)。実はファッションショーなんて‥‥と思っていた私ですが、展示で動かない着物を見るのと違って、やっぱり人が着て、動く着物姿はいい! いろんな趣向が凝らされていて、とても刺激的です。着物のファッションショーは、今はもうほとんど行われていないのが実情。ぜひサローネで目撃して欲しいです。


 後期はトークショーや東京の伝統工芸のワークショップがあります! ワークショップは、鼈甲や指物、刺繍等ちょっとドキドキするラインナップ。当日受付のようですので、絶対受けたい!と狙っているわにこです。


 出展ブースには「銀座いち利」さんも参加。みたざき女将の笑顔に会えますよ。あと、個人的にはこのコラムを担当してくださっているいち利モールのイケメンスタッフ(まだお会いしてないので想像(妄想?)ですが、間違いナシ)Nさんもいらっしゃるということなので、今からドキドキです! 皆さんもチェックしてみてください(えええ)。


 そしてエキシビジョンで「100人コーディネート」展示があります。着物に関わるいろ〜〜んな100人がまさに100通りのコーディネートを展示。なんとここに、私も参加させていただくことになりました! ただの着物好きだった私が、錚々たるメンバーの中に加えていただけるとは(汗)ドキドキです。マジ、バクバクです。自分の場合は、販売物があるわけではないので、「自分が着て一番ワクワクするコーデ」を展示する予定です。この日のために、他装を習いにいったり、キモトモと自主特訓をしたり、皆を巻き込んであーでもないこーでもないと準備しています! よろしかったら、見てやって下さいね! 


(わにこも11日日中と13日夕方あたり出没している予定です(ワニ出没注意)。ワニ帯とかワニ半襟とかワニ帯留とかをしていると思いますので、見かけたら優しく声をかけてくだると喜びます(^^)石は投げないでください(;;))


 もちろん、他の皆様のコーディネートも楽しみすぎて鼻血が出そうです(出すな)。お洒落としての着物を楽しむことに「こうでなければならない」ということはないはず。いろんな人の、いろんな好み、いろんなスタイルがあって当然。もしかすると「本当はこういうのが好きだった!」なんて開眼があるかもしれませんよ。


 きものサローネに、自分のスタイルをみつけに足を運んでみませんか?


きものサローネin日本橋

前期:11月8日(土)〜10日(月)COREDO日本橋

後期:11月11日(火)〜13日(木)YUITO


http://kimono-salone.com/


青空の色、海の色。ジャパンブルー・藍染め体験しました!の巻~着物大好きコミックエッセイスト ほし わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 ずっと晴れていた東京も、しばらく雨模様が続いています。涼しくなって、体はほっとしていますが、豪雨のニュースが気になります。私も先週の帰省中はずっと雨。帰りは電車が土砂崩れで運休になり、予定が大幅にずれました。被害にあわれたり、避難など心配が続く皆様、心よりお見舞い申し上げます。

 さてさて、今年の夏は念願の染め体験ができました。それは「生藍染め」です。収穫してから、30分以内に生の藍の葉をミキサーにかけた液に絹地を浸すと、それはそれは美しい、空の色に染まるのです。

 それを知ったのは去年のことでしたが、機会を逃して挑戦することはできませんでした。藍の種をわけてもらったのですが、栽培に失敗し、染めるのに十分な量を収穫できず。キモトモが、藍の葉を冷凍してくれてそれを使ってみたのですが、染まるには染まったけれど、「白緑」とでも言うような、淡いグリーンでした。

 それはそれで気に入ったのですが、やはり、空の色を切り取ったような、鮮やかな抜けるような、なんとも透き通った水色を染めてみたい!

 今年は、二人のキモトモに種をわけてもらい、庭の一角で栽培。帯揚が1枚染まるくらいの量が収穫できました。また、キモトモが畑でたくさん収穫できたという藍を使って、皆で生藍染め体験も!

 この夏から、友人と二人で共同の仕事場を借りて仕事をするようになったのですが、そこがもと小料理屋さんということで水場が充実しています。そこを使って、染めをやろう!と皆で集まりました。 

 とにかく、収穫してから時間が経つと色が濁ってしまうということで、スピード勝負。畑から土つきで運んで来た藍を、大人も子どももワイワイ言いながら葉っぱをちぎって洗ってミキサーにかけて‥‥。

 出来上がった緑色の液に布を浸し、引き上げて空気に触れさせると、緑色がみるみるうちに水色に変化していきます。それを水でさっと洗って干せば染め上がり、

 
生藍

 その水色が、生っぽいというか、レアというか、なんともいえない瑞々しく、鮮やかな空色なのです!!

 用意した帯揚やシルクのスカーフに輪ゴムでしぼりの模様を入れたり、一部分だけ液につけてグラデーションにしたり。素敵な作品がいっぱいできました!

 ず〜っと欲しかった、空色の絽の帯揚が染められて大満足でした。

 この生藍染めでは、絹や羊毛はよく染まるのですが、木綿は残念ながらあまり上手く染まりませんでした。呉汁(大豆の汁)につけたり、助剤を使ったりと研究の余地がありそうです。

 あとは、「たたき染め」という、葉っぱを布で挟んで石などでたたき、葉の汁を布に移すというのもやりました。こちらは青ではなくて、綺麗な緑色の葉っぱそのままが布に染まって、これも綺麗でしたよ!

 私は、葉っぱをワニの形に切って、たたき染めしてみました(^^)v 葉脈も、美しく写ります。

 
たたき染め

 そして、今年はいわゆる「藍染め」を、小金井の麻生工房さんで体験させていただきました。タデ藍を発酵させて作った「藍瓶」に布を漬けて染めるものです。

 こちらは生藍と違い、藍の葉を発酵させ、長い時間と手間をかけて建てられた染液なので、木綿もしっかりと染まります。

 わたしは大きめの風呂敷を染めることに。ワンポイントでワニの形の「縫い絞り」とあとは染めない部分をビニールでくるんで絞って止める「帽子絞り」で水玉模様にチャレンジ。一緒にいったキモトモは「巻き絞り(軍隊絞り)」にチャレンジしていましたよ。
 
藍染め1

 

 藍瓶の藍液の表面は、濃い紺に緑、紫や茶が混じった金属的な光沢があり、写真には映っていませんが、ふわふわと泡立った部分は「藍の花」と呼ばれているそう。

 絞った布を藍液の中に漬け、ひきあげると最初は茶色っぽい色が、空気にふれると酸化して最初は濃い緑に変化し、それが段々と青くなっていきます。

 水でさっと洗って脱水すると、馴染みのある「藍色」に。江戸時代から盛んになり、明治時代に来日した外国人が「ジャパンブルー」と呼んだ、この藍染めの色は、もしかしたら日本人が一番好きな色なのかもしれませんね。私も大好きです!!

 
ワニ

 絞りの部分をはずすと、白く残った部分が模様になります。ワニさん、なかなか可愛いでしょう?(自画自賛ですみません)

 藍で染めた布は、アク抜きのため一晩水につけた後、70度くらいのお湯でさっと洗うと、お湯が少し黄色くなります。それが「アク」なんだそう。その後、晴れた日に万遍なく天日干しをすると、アクが抜けてより藍の色がクリアになるそうです。

 ご指導くださった麻生先生、渡辺さんありがとうございました。

 
イラスト

 大好きな色の染めを体験できて、大満足の夏でした\(^O^)/

 様々な染色の体験をすると、着物や帯を作られる職人さんたちのご苦労がよくわかり、持っている着物や布への愛着もアップする気がします。機会があったら、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。


わにこの女優体験記★「細雪」エキストラに出演しちゃいましたの巻~着物大好きコミックエッセイスト ほし わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 このところの雷雨やヒョウで、関東各地被害が相次いでいますね。被害にあわれた皆様には心よりお見舞い申し上げます。

 本当に急な豪雨には参りますね。着物の日はドキドキ5割増。

 着物だけでなく、パソコンもドキドキです。そう、先週雷で壊れたパソコン。修理代の見積もりも出て、火災保険も降りそうです、が‥‥修理を待っていたら仕事が終わらないので新しいパソコン、はい、買いました(><)。

 月曜日に届いたiMacのセッティングが終わり、先週の雷ショックからやっと立ち直りかけの現在です(お財布は強烈に痛いですが(;;))

 どうも故障の原因は、雷によるコンセントからの過電流が原因ではなく、LANからの過電流が原因のようです。雷が鳴ったら、パソコンに繋がっている線は全部抜いて下さいね! あとバックアップは普段から忘れずに。わにこが今回得た教訓でした。

 さて、そんな雷のショックも冷めやらぬ6月27日。先日オーディションをうけた明治座「細雪」の通行人エキストラの出番がやってまいりました。しかも、この日は千秋楽! 今思い出しても緊張してきます(笑)

 最初は自分でヘアもセットして着付けもしていこうと思っていたのですが、予習も兼ねて(?)観劇に行ったとき、エキストラの皆様があまりにビューティホーなヘアスタイルと着付けだったので「これは‥‥イカン!」と青くなり、明治座の近くの井上美容室さんに飛び込みました。

 すると「ああ、細雪のエキストラの方ね、何人かいらしてるわよ」とのこと。何だ?皆考える事は一緒だ(笑)とホっとするわにこ。無事ヘアセットと着付けの予約を入れて、前日着物を持ち込み。あとは当日遅刻しないことだけ!

 雷のせいでズレにズレた仕事をなんとか朝までに片付けて、当日軽い紬の単衣に半幅帯という姿で、人形町に向かったのでした。

 舞台の開演は11時。エキストラの出演は13時前ぐらい。10時半に楽屋に入って準備するか、12時までに着付けを済ませるかして集合とのこと。

 9時半に美容室に入り、ヘアセット。同じく早朝ヘアセットに入っている粋な方がお隣にいらして、お話を伺うとなんと日本橋葭町(よしちょう)の芸者さん! 「ここらへん(日本橋)はね、昔から割烹着でも頭をきちんと結ってる人が多かったわね。『週に2回は美容院で頭を結わせてくれること』っていうのがお嫁入りの条件だったっていうおばあちゃんもいたわよ」とのこと。昨年、日本橋生まれの大久保信子先生に取材をさせいていただいたときも「日本橋はとにかく髪をきちんとセットしている人が多かったわね」とおっしゃっていました。おしゃれはキチンと結った髪から。なんとなく、日本橋テイストの理解が深まったかも!?

okama


 髪をカーラーで巻いて昔懐かし昭和なオカマ型ドライヤーをかぶり(はじめて被ったかも!!!)、美容師さんに「昭和のはじめだから、耳も少し隠したセットにするね」と、カモジを入れてもらい、前髪が束髪の髷のようになった「花子とアン」の時代のような髪型に!!

 通行人のため、華美な髪飾りや指輪などはNGとのことで、地味目の鼈甲のくしを挿してもらいました。後ろの毛流れも綺麗で、大満足です。

 そして、着物を着せ付けてもらって完成! やはりプロにやっていただくとキレイです! 自分ではなかなかこんな風に綺麗にぐっと衣紋を抜く事ができません。美容室を覗いてくれたキモトモに写真を撮ってもらったり、美容室の方やちょうど通りかかったキモトモにあらいいわよ、なんて言っていただいたりして、すっかり気分が頭と同じようにモリモリに盛り上がって参りました!

 少し怪しい天気とにらめっこしながら明治座に着くと、楽屋では一緒に出演するエキストラの役のお二人が身支度を終えられていました。当日はヘアメイクさんのチェックが入るのかと思っていましたが、本当にそのまま出番を迎えるようです。

「どこまで化粧したらいいんでしょうね?」なんて言いながら、準備をして出番を待ちます。この時間が一番緊張いたしました!

 そしてスタッフの方に呼ばれ、回り舞台に乗り、ぐる??っと回って、客席の方に!! ライトが着くと、そこは明治座の舞台の上でした!!!

 人形展の観客、というエキストラの私達はプロの俳優さんと女優さんお二人にサンドイッチしていただいて、舞台の右へ左へ、人形を見たりしながらうまく誘導していただいて動きます。途中、一度退場してまた戻り、太川陽介さんが川崎麻世さんを殴るのを見て、驚いて、退場。という流れでした。

 
細雪イラスト



 エスコートしてくださるプロのお二人が、出番の前からいろいろ話しかけてくださって、緊張をほぐしてうまく誘導してくださったので、なんだか世間話をしているうちに終わってしまったような印象(笑)。舞台の上は、明るくて、キラキラしていて、客席も前の方はよく見えるんだな?なんて思いながら、きっと、ずっとニヤニヤしていたんじゃないでしょうか。
 


 当日は、22人ものお友達が見に来てくれて、それも本当に心強くて、知らないところに放り出されたのではなく、皆がいるところに出て行くような気持ちだったので緊張もしなかったのかもしれません。

 とにかく、本当にわくわくしていたら、出番が終わっていたというかんじです(笑)楽しかった!! 出演者の方も、スタッフの方もとても優しく声かけをしてくださって、気持ちよく過ごすことができました。

 三女、四女役の水野真紀さん、大和悠河さんは近くで拝見できたのですが、本当にお綺麗で、キラッキラしてました。もうなんか、人種が違う感じです(笑)。

 出番後は、舞台裏から、出演者の皆さんの楽屋のれんがかかった胡蝶蘭が並ぶ楽屋を通り、エキストラ楽屋に戻りました。そして、なんと今回出演協力ということで、パンフレットに名前を載せていただいているのですが、主な出演者の皆さん全員のサインが入ったパンフレットを記念にいただきました。自分の名前が「細雪」のパンフレットに載るなんて、感動!!
 
細雪衣装


 衣装のまま、一旦外に出て、二部の後の休憩の時間に見に来てくださったキモトモの皆と記念撮影(写真は、外歩き用の草履に履き替えています)。

 皆の笑顔がとっても嬉しくて!! そのあと、また楽屋に戻らせていただいて、元の単衣に着替え。

 出演者ノート、という旅の宿ノートのようなものが置いてありましたので、皆さんのコメントを読みつつ、お礼を書いて退出しました

 そして外に出たら、滝のような雨が!!(@@)落ち着いて!!パソコンの電源は落としてコンセントから抜いて来たし!!(もはやトラウマです/涙)

 無事観劇を終えた皆さんと合流し、しばらく明治座のラウンジで雨宿りをしたのち、打ち上げに繰り出したのでした。

 大好きな舞台に、大好きな人たちの前で、大好きな着物で参加して。本当になんだかもう、こんなに幸せでいいかしら? というような夢叶いまくりの1日で。思い出しただけでもごはん3杯いけそうです(食べ過ぎ)。

 衣装用の着物を決めるのにも、キモトモの皆に相談しまくって、妄想に妄想を重ね(笑)準備する段階から本当に楽しい、楽しい時間を過ごしました。この日のことは一生忘れないでしょう。こんな企画をたててくださった明治座さん、そして、このオーディションのことを教えて下さったいち利モールのコラム担当のKさん! がんばれよ?と言って下さった皆さん。オーディションを受けさせてくれた家族。本当に本当に、皆さまありがとうございました!!

 いや?着物って、本当に楽しいですね!(水野晴男)


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わにこ「細雪」オーディションに挑戦!の巻き~着物大好きコミックエッセイスト ほし わにこ連載コラム「オトナの着物生活」

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 梅雨が来る前に夏がきてしまったような東京ですが、わたくし気温30度を越えた5月31日に袷で出かけました。

衣替えを待たなくても暑ければ単衣でいいのでは、と書いたばかりなのになんでかと申しますと、袷で出かけなくてはならぬ用事があったのでございます。

 行き先は明治座。

『オーディションで選ばれた100名の方に、舞台「細雪」の一場面にエキストラとしてご出演いただく、“「細雪」の舞台に着物で出演しよう!”キャンペーン』に応募して、なんと千秋楽にエキストラ出演させていただけることになったためです。

 通し稽古を見せていただき、自分も一度舞台にあがってみるということで、当日着る衣装で参加とのこと。衣装は袷(><)。着替え場所はないので、家から汗対策をし、衣紋をがっつり抜き(こうすると結構涼しい)、帯下保冷剤の術(http://ichirimall.ldblog.jp/archives/31587783.html)で、なんとか劇場にたどり着きました。いや?やっぱり5月末の袷は厳しいです!!

 ……思い起こせばこのキャンペーンの締切当日。いち利モールの担当さんにこのオーディションのことを教えていただき、な、な、なんですと?!と驚くわにこ。

「細雪」と言えば、上演があるたびにしつこく観に行っている大好きな舞台。

そのとき、すでに15時近く。明治座のオーディション説明ページを確認し、応募用紙をダウンロード。上半身、全身の写真が必要とのことで、キモ友(着物友達の)カメラマンに撮ってもらった写真を掘り起こし、コンビニにいってプリントアウト。
応募用紙に、細雪に対する暑苦しいまでの想いをみっちり書き込み、16時半には郵便局に行って投函。そんな勢いだけで出した書類でしたが、後日書類審査通過のお知らせをいただき、オーディションに行くことになりました。

 ここで悩んだのが「古典柄の自分の着物で出演。それを着て参加」というミッションです。時は昭和13年秋。古典柄……。

 キモトモの皆さんにお知恵拝借しつつ、自分の持ってるそんな時代っぽい着物を引っ張り出して、帯や羽織とコーディネート。通行人としてあーでもないこーでもないと悩んだ末に、こんなコーディネートになりました。秋といいつつ、細雪の「雪」を意識してみました(自己満足)。

細雪コーデ

着物:雪のよなロケツのたたき染めに椿の小紋 
帯 :いただきものの紅葉の刺繍帯
帯揚:紅葉のりんだし 

半襟:雪輪に桜の刺繍半襟 
羽織:雪輪に撫子の長羽織 
草履:菊之好の和紙台にスエード鼻緒 
かんざし:二葉苑の更紗玉 

さて、肝心のオーディション。

「自分で着物を着て来る」というハードルのためか、年齢層はやや高め。キモノ姿の方が、大勢で控え室にいらっしゃる姿にドキドキ!! コーディネートで頭がいっぱいだった私は、オーディション会場についてはじめて「演技(というほどではないが)して人前に立つ」のだと改めて気付いてまたこれドキドキ!! 

 そして順番が回って来て、演出の水谷幹夫先生はじめ、あの憧れの舞台の製作の皆様の前で「人形を見ながら歩いてお気に入りの人形を見つけて、じっくりみて、一度前を向いてから、出て行く」という演技をする、というミッションが課せられました。そ、そんな!!

 オーディションを受けにいらしている方たちは「明治座アカデミー」という俳優養成所で勉強されている方も多いようで、皆様素敵に歩いていかれます。
私はかなりロボっぽいというか、挙動不審状態に。右手と右足が同時に出ては‥‥いなかったと思いたいレベル(><)。

 でも、一緒のグループだった素敵な方と、帰りの方向が一緒でお話させていただいたりして、楽しかったです。着物の話って、本当に盛り上がりますよね。

 ドキドキのオーディションから待つこと10日間あまり‥‥。

なんと合格通知が届いたのです。

 私・舞台に立つ!・・・・

いいの?いいのですか?? そして、説明会にいくと、合格者出演日一覧が張り出されており、なんと千秋楽(ごろんごろんごろん)。そんな大切な日に!ひい〜〜! 赤くなったり青くなったり大変です。


 オーディション通過した人への説明会ではヘアメイクの方から「女優さんより、キレイにしてこないでくださいね(笑)」と言われましたが、まあそれは心配ないすね(笑)。

この日はメイクの注意や、コーディネートチェックなどが行われました。

 そしてゲネプロ(最後の通し稽古)を観劇し、エキストラの出番を確認。何度も観劇していますが、通行人の方に注目したことはなかったので、あ、ここなのね、と再確認。

実際は、一人で歩くのではなくプロの俳優さんがきちんとエスコートしてくださることがわかり、ホッとしました。それにしても、出番まで1ヵ月ほど……緊張でどーにかなりそうです!


「細雪」は皆様ご存知の通り、谷崎潤一郎原作の名作舞台。

上演回数は1400回を越え、長く愛されている作品です。

大阪船場の老舗「蒔岡商店」の四姉妹の物語。大きなお屋敷で暮らし、春は京都の花見、夏の蛍狩り、秋は箕面の紅葉見物と優雅な生活を送っていますが、時代は遷り、店が倒産し戦争が始まり、そんな生活も翳りを見せ、姉妹達の生活も変わっていきます。



20140604

テーマ曲として使われているバッハのブランデンブルク協奏曲第5番が流れると、気持ちは一気に細雪の世界へ!!


 長女から四女まで、それぞれの年代のそれぞれの女性の喜びだけではなく、悩みや苦しみや悲しみが、美しい四季の風景と美しい衣装に彩られて、観るものの心に飛び込んできます。わたくし、毎度ハンケチ必須で観劇しております。あと、男性陣も素敵なんですよ?。


 キモノスキーとしても、冒頭の法事の四姉妹の年代に応じた桜色の色無地の着こなしから始まり、日本舞踊のおさらい会でのこいさんの黒引姿、お屋敷での虫干しシーンなどなど、うっとりの連続です。

私が一番好きなのは、長女の鶴子が次女の友人達が自分のうわさ話をしているところに入って行き、皆が帰ったところで長羽織の裾をパっと払ってソファに腰掛けるシーンです。そういうちょっとした仕草なども本当に美しく、かっこよく、目が離せません。着物を着たときの参考にもなりますよ。


 未見の方もリピーターの方も、着物好きならぜひ御覧になっていただきたい舞台です。

3幕3時間半を越える上演時間ですが、30分2回の休憩がありますので、幕間にお弁当をいただいたり、時間に追われる日常生活を忘れて、ゆったりとした気持ちでお楽しみ下さい。

キモトモと四姉妹結成するのも楽しいですよっ(誰が何女になるかで喧嘩しないようにしてください(笑))。


 もし千秋楽にいかれる方がいらっしゃいましたら、四女妙子の人形展で人形を観ているうちの一人が私ですので、転ばないかどうかちらっと見守ってやってくださいませ。

いち利モールさんの「細雪」観劇のおでかけイベントにも参加していますし、その他にも何度か観劇に行く予定でおります。もし明治座でわにこを見かけたらお声かけくださいねっ!(どんだけ好きやねん!)

 細雪わに


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いち利モールよりお知らせ★

6/10より2周年記念セールを開催します♪
今回は・・・お買い得品だけでなく
プレゼントも楽しいものをご用意していますので
楽しみにお待ちくださいね(^.^)

 キャプチャ

http://ichiri-mall.jp/

 

オリジナルかんざし作りに挑戦の巻き~着物大好きコミックエッセイスト ほし わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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東日本大震災から丸3年。昨日3月11日は、日本中の人がいろんな想いを抱えて過ごされたと思います。
 私は、クリエイター仲間と開催したチャリティアートマーケットに参加していました。

売り上げの半額を親を亡くした被災地の子どもの就学を支援している「みちのく未来基金」へ寄付するという目的で、女性クリエイターたちが自分の作品を販売したり、作品づくりのワークショップを開いたりしました。


桜

 会場のギャラリー&カフェに飾られた桜の前で、その場にいた参加者の皆と黙祷を捧げました。

簡単には治らない。長くかかる、傷が癒える時間。桜を見ると、あの春の気持ちを思い出します。

 

 2011年の春から続けている活動ですが、通販だったり、時にはきものに関する催しだったり、そのときどきできることを、できる人がという形で続いています。

自分のできることをできるだけ、忘れないで長く続けて参加できればと思っています。

 


 こういうイベントでは、作家さんと直接話ができるのも楽しみのひとつ。

今年は、好きなチャームやパーツでアクセサリーを作るオーダー販売があり、シルバークレイパーツや、ビーズ作品、つまみの布花や絹糸のタッセル(房)など、いろんな人が作ったパーツを好きなように組み合わせてアクセサリーを作ってもらえるというので、早速お願いしました。



パーツ

 


 房大好き!の私は、ビーズボールに房を組み合わせて、優しいさくらのぼんぼりのような飾りにし、かんざしパーツに取り付けてもらいました\(^O^)
 髪に挿すと、房が下がってとても可愛いんです(><)

 


 かんざし以外にも、帯に挟めば素敵な帯飾りに。タッセルはとってもきものと相性がいいので、バッグにつけたりしても気分が上がります。

 卒業式シーズン、袴や振袖のお嬢さんの髪飾りに、房をひとつプラスしてあげるだけで、ぐっと華やかさが増しますよ〜〜〜〜!!



簪


また、かんざしの隣のショッキングピンクの房は、別の日に絹糸と天然石で作るタッセルのワークショップに参加して、作ったものです。好きな糸と石を選んで、タッセルを作って組み合わせました。女子っぽい房を作ろう!と思って作ったのに、何かが違う‥‥なんだろう???

 このタッセルのいいところは、カニカンがついていて、いろんなパーツに付け替えしても使えるところ。気分でキーホルダーやイヤホンジャック、バッグチャームなどいろいろつけかえられるというのも楽しいです!!




IMG12

それにしても、タッセルって自分でも作れるんですね〜〜〜。大量生産してしまいそうな自分が怖いです(笑)。

 


 いろんな組み合わせを考えて、オリジナルのかんざしや帯飾り作りにチャレンジしてみませんか? 

自分で作れば、季節にあわせたものも、沢山楽しめそう! 使わなくなったイヤリングやピアス、ネックレスなどのパーツも再生できちゃうかも!! 夢が広がってこの春、ちょっとはまってしまいそうなわにこでした。

 


 


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※1ヵ月に渡り開催した個展「キモネコワニ展」無事終了いたしました。このコラムを見て来場してくださった方もあり、感激でした。心より御礼申し上げます。これからもがんばりますので、よろしくお願いします!


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着物通販いち利モール決算SALE開催中!
http://ichiri-mall.jp/lp/kessansale2014/

▼かんざし、根付も決算SALE価格です▼

いち利モールのかんざし
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根付
http://ichiri-mall.jp/ap/icCD01/so4/iq54/page1.html





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