母と着物と家族写真と☆の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 成人式の前撮りシーズン真っ盛り。私もお着付やコーディネート相談をさせていただき、幸せのおすそわけそしていただいております。

 断然母目線でのお支度のお手伝いになるのですが、ほんとうにお嬢さんがたが可愛くて可愛くて仕方ありません。それもそのはず、私が20歳を迎えた時には、私の母は今の私より若かったわけですから。

 私の田舎では当時「新生活運動」が盛んで、冠婚葬祭の虚礼を少なくしようということから成人式の振袖も着用禁止だったのです。いつの時代だよ、と言われますけど、平成最初の頃のお話です。

 それで振袖は作らなかったけれど、代わりに少しだけ袖の長いピンクの鮫小紋を誂えてくれて、それで記念写真を撮りました。

 その時、色違いで自分のために紫の鮫小紋を誂えていたのは後になって知ったことですが(笑)今となると、子供の成人記念にいい自分へのご褒美だなと思います。大学の卒業式では、私はその鮫小紋に袴をあわせ、母もお揃いの鮫小紋で列席してくれました。とってもよい思い出です。

 母の鮫小紋はいつか私がもらおうと密かに狙っていたのですが(笑)、私もそろそろ紫が似合う年頃になって母に聞いてみると、伯母の家が火事で焼けてしまい着物もなくなってしまったからと、伯母にもらってもらったそう。

 そんな風に、母のあのときの着物、このときの着物、なんていうものは結構覚えていたりするものですが、なにしろ母とは身長が18センチも違うので、よっぽどな手入れをしてからでないと着ることはできません。

 唯一、黒羽織だけは引き返しがたくさんあったので、肩に接ぎを入れて仕立て直して着ています。



 そんな中、お母様を早く亡くされた友人が、自分の振袖をお嬢さんに着せたいと相談に来てくれました。着物のことはよくわからないけど、もってきてみた!と見せてもらったのですが、きちんと手入れされて小物もわかりやすく仕舞ってあったのだろうなと拝察されて、母の想いに涙が出そうになりました。51歳で亡くなられたというお母さん。今のワタシとほぼ同じで、末っ子はまだ小学生。どんな想いだったのだろうと胸が詰まります。

 孫娘が、自分が娘のために用意した振袖を着た姿を見たら、本当に嬉しいものだろうなと。実際に見ることは敵わなくても、想いは残って、受け継がれていくのだと思うと、人間はその想いを受け取ってくれている人がいる限り、そこにいるのだなと思うのです。

 また、別の日の撮影ではご両親の双方のお母様、つまり成人したお嬢さんの二人のおばあちゃまが、一緒に写真を撮りにきてくれたり。目を細めながら可愛い孫の晴れ姿を見るお二人の姿に、ほっこり。

 私自身は、弟が成人式を迎える前に亡くなり、母が弟の成人式の姿を見たかった、見たかったと何度も言うのを聞いていたので、子が無事に成人の日を迎え、晴れの姿で写真を撮るというのは本当に幸せなことだと、撮影のたびにじーんとしてしまいます。自分は記念撮影してもらったけれど、両親と弟の家族4人揃って撮ったまともな写真がないので、それも心残りが。いつでも撮れると思っていると、意外とそうでもないのです。明日は何が起こるかわからないし、人生の節目に思い切ってちゃんと写真を残しておけばよかったとしみじみ思うのです。

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 成人式の前撮りの、ご本人とご家族の笑顔を見ていると様々な想いで胸がいっぱいになり、これからの幸せを心から願わずにはいられません。私にとって、家族写真を撮影する仕事は、特別な気持ちがあり、勝手ながらライフワークのひとつだと思ってお手伝いさせてもらっています。

 人には寿命があり、叶うこと叶わないこと様々ですが、あれがないこれがないと嘆くよりも、今あるものに感謝をして、どんな状況でもそのときのベストを尽くして生きていけばよい。そして、そのときの笑顔を忘れないよう、一枚の写真があったらなおよくて。やがてそれを次の世代が見て「これがおばあちゃんか、ひいばあちゃんか」なんて思ってくれたらとてもとても素敵じゃないかなと。家族写真にはそんなロマンがある。

 今日は立冬。母の命日に、そんなことをつらつらと思ってみました。

ママ振袖で成人式!準備のチェックポイントは?☆の巻~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

 あっという間に10月も終わりっ! 今年もあと2ヵ月になってしまいました。来年、再来年の成人式の用意が気になっている方、そしてご家族も多いのではないでしょうか。

 購入やレンタルもありますが、最近「ママ振袖」という言葉を耳にすることが増えてきました。オトナ振袖を提唱しておる身といたしましては、最初は「なにっ!ついにママも振袖を着る時代に!?」(私の時代がきた!!<間違)と思ったのですが、「ママの振袖を娘が着る」ということ。

 着物は受け継いで行く文化。お母様やおばあさまが着た振袖を着るというのはとってもとっても素敵ですよね〜。ただ、そのままのコーデで着てしまうとママの年齢によっては「ザ☆昭和」なコーデで周りから浮いてしまうかもしれません。

 そこで今回は、ママ振袖をイマ風に着こなすための方法と準備のチェックポイントを紹介します!

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 大前提として、着ようと思っている振袖が「着られる状態か」ということをまずチェックする必要があります。

 汚れやシミがないか。サイズはあっているか。

 着るのに支障があるような汚れがないかまずチェック。もしあったら、お手入れに出しましょう。

ママと10センチ以上身長が違うなら、サイズが合わないかもしれません。その場合、仕立て直しや裄直しなどサイズ直しもできるかもしれないので、専門家に相談してみましょう。

 どちらも費用がかかるので、まずは見積もりしてもらってその金額を払ってもいいかどうかで決めてもいいと思います。

 汚れに関しては、多少のことであればそんなに気にすることはないと思いますが、例えば襟元や胸元、上前など目立つところにあると気になりますよね。

 一番いいのは、洗い張りに出してマイサイズに仕立て直してもらうことですが、費用もかかるし、作り替えたいサイズに仕立て直しが可能かどうかなどもありますので、着物に詳しくない時は、一度知っている人に見てもらうのが近道だと思います。

 さて、着られそう!となったらば、次はコーディネート。ママとそっくり同じでもいいけれど、自分らしさも入れたいですよね。

 まずは帯が別のものがあれば、替えてみる。新しいものを探してもいいし、おばあちゃんの若い頃の帯とかだって使えるのが着物のいいところ! 

 帯が変わらなくても、小物類と髪型、バッグを替える。

 親子といえども、似合う色や好きな色は意外と違うもの。半衿や、伊達衿、帯揚帯締めを変えると、かなり雰囲気が変わります。髪型や髪飾りも、自分好みにアレンジするとぐっと今風に。

 小物類も買おうと思うと意外とお金がかかりますが、振袖を買うことを考えるとなんのその。リサイクルもありますし、可愛いものを探すのもいいですよ。前撮りをすると、撮影スタジオで貸してくれるプランも。

 振袖と帯以外で特に気をつけたいチェックポイントとしては、長襦袢の半衿、足袋、草履。半衿は古くてダメになっていることもあるので、新しいものにつけかえたほうがいいことが多いです。半衿としても売っていますが、自分の好きな布やレースをつけてもいいかも!

 足袋や草履はサイズもありますし、特におふるの草履は劣化していたりすることも。長時間出歩く場合は、足が痛くないかなども事前に履いてみるなどしてチェックして、だめそうだったら新調をおすすめします。

 それから、肌着もいろいろなものがあります。お胸の大きい人は和装ブラがあると安心ですよ。生理のときも安心の防水タイプの肌着もあります。意外と快適な肌着かそうでないかは着心地を左右します。

 一言で振袖といっても、一体準備するものは何アイテムあるんだという煩雑さ! そしてキリがない選択肢! ですが、それでも振袖は着ると嬉しいもの。人生の節目を飾る改まった装いです。めんどくさーといわず、一度は着て欲しいもの。そして、できたら、何度も着てほしいものです。ほんとにほんとに、振袖って、普段着とは違って、いつも着られるってわけじゃない、スペシャルなプリンセスドレスなのですから。

 ママ振袖がある方は、ぜひ、ママと一緒に晴れの日の装いを考えて、お支度してみて下さい。ママにとっても嬉しいことだし、なによりもそれは、きっと、あなたの一生の思い出になるはずです。

金唐ねん金の帯でクリムト風妄想コーデの巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 キモノEXPO東京では、お世話になりました〜! 皆さんのお着物姿を沢山拝見できてめっちゃ目の保養になりました。お声かけ下さった方もありがとうございます。ほんと、「読んでます〜」とおっしゃっていただけると、嬉しい!という気持ちと恥ずかしさMAXで思わず挙動不審になってしまいますが、ほんとにほんとに励みになっております! 今週は大阪でEXPOですね。楽しい講座や役に立つ講座も満載なので、ぜひおでかけください(^^)

 さて、ほっと一息ついて今月も試着室で妄想しちゃうぞ。。。といち利モールのサイトをのぞいたら、帯全品セール中。わ〜!と早速覗いてみると気になる帯を発見。桝屋高尾さんの「金唐ねん金」のダイヤ柄。見た瞬間ウイーン世紀末を代表する画家、クリムトの絵画を連想しました。

 これでクリムト風コーデはできないかな〜?と妄想しまくったコーデがこちら。

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 クリムトの絵画といえば平面的な構成と金箔が特徴的。1873年にオーストリアで開催された万博で尾形光琳の屏風絵を見たクリムトは、強い影響をうけて後の画風を確立したそう。

 ヨーロッパの金唐革という、革に模様を打ち出して金箔や金泥で装飾を施したものを、和紙で再現した「金唐華紙」を織物で表現したこの帯。日本から影響をうけたクリムトを、ヨーロッパから影響を受けた金唐華紙をイメージした帯で連想する‥‥。「金」を使った美の表現を通じて、東西で影響しあったとい共通点が、そうさせるのでしょうか。なんだかワクワクしてしまいました。

 最初はコーディネートも全身クリムト風で、と思ったのですが、着物は尾形光琳の紅白梅図屏風の流水部分を連想させる文様の京友禅小紋にしてみたら、これがまたしっくりあうのが不思議。

 金箔を連想させる帯締めや帯揚、半衿でアクセントをつけてクリムト風コーデのできあがり。こんな風に、なにかをテーマにして自分なりにコーデするのも楽しいもの。そしてクリムトの絵画を観に行ったりしたらまた楽しそう!

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 今年はクリムトの没後100年。日本でも来年2019年の春に過去最大級のクリムトはじめエゴン・シーレなど世紀末ウイーンの画家たちの展覧会が開かれます。

 写真や映像で見るよりも、やはりアートは実物を見るとまたその作品の持つ力がダイレクトに感じられるのでは。絵や立体作品の前に立って、その作品と対話をする。とても贅沢なこと。

 自分の中に、余裕や知識がないときには、作品のメッセージも受け取れない気がします。忙しく日々に追われて、そんな時間をすっかり忘れていたみたい。1本の帯を見て始まった妄想から、アート鑑賞にでかけたくなってしまいました。着物にも、そんなところがありますね。ちょっと余裕がないと、やっぱり着物も着られない。いつかそのうちと言っていると、あっという間に着る機会を逃してしまいます。

 芸術の秋。ちょっとムリにでも。時間を作って、好きな着物で好きなアートに会いにいってみませんか。

姿勢と所作で着物姿がキマるのだ!の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 やっと袷に袖を通してもいいな〜と思える気温になってきましたね。やっぱり袷の心地好い重みといいましょうか、を感じると、「着物を着ているな〜」という喜びというかワクワク感が沸き上がります。

 先週補整をすると着付がラクですよ〜と言いましたがもうひとつ。姿勢と所作で着物姿がぐんとかわります!というお話です。着物にあった動作をすると、着崩れ方も違ってくるなと日々実感しております。

 中学生のころお茶を習い始めたときに、何故こんな動作をするのか?というのがよくわかりませんでした。畳を何歩で歩くとか、建水をひくとか、肘を張るとか、そういった動作が、着物を着た時にはじめてピタッとはまって「あっ」と思ったものです。着物を着ている前提での動きだから、洋服での動きとは違うのですよね。

 でも、実際着物で動いてみないとわからないこともいっぱい。洋服のときは一度も邪魔に思ったことのないドアノブが、着物を着ると袖にひっかかってものすごく邪魔になるとか。腕をバーンと上にあげるとテキメンに着崩れちゃうとか。

 着物だからってそんなに楚々とばかり動くわけにもいかないし、なんだってできることはできるんですが、洋服の時とはちょっと違う動きを意識すると、いいのだと思います。

 そうはいっても、日本人の体型もかわってきているし‥‥と思っていたのですが、着物をきこなすのは体型じゃなくて姿勢と所作だ!と思い知ったのはアメリカ人の俳優さんのポスター撮影を行ったときのことです。
 
 写真撮影のお手伝いしたのは、10月21日に行われる国際京都学シンポジウム「テレビドラマの外国語~京都育ちアメリカ人の役者人生~」。

大河ドラマ「西郷どん」や正露丸CMにも出演されている京都育ちのバイリンガル俳優ブレイク・クロフォードさんは日本語ペラペラ。だけど見た目は完全にアメリカ人なので、ドラマ出演の際にはわざとヘタクソな日本語をしゃべることもある? ドラマの台詞や演出を通して考える、英語と日本語のコミュニケーションについてのお話です。そんなシンポジウム用のポスター用にスーツと浴衣姿で撮影をしたのですが‥‥。

 背が高くて足が長くて胸板も厚い西洋人体型ですから、もちろんスーツの似合うことこの上なし。やっぱり日本人のスーツ姿と全然違うわ〜なんて思っていたのですが、浴衣に着替えていただいたら、あれっ!これまた似合うのなんのって。イケメンに限る、っていうだけじゃなくて、浴衣のときの所作とポーズが、スーツのときと違って重心が低いというか、腰が決まってるんですよね。

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 うかがってみると、クロフォードさんは若い頃歌舞伎をされていて、京都南座でも働いていらしたんだとか。そんじょそこらの日本人よりずっとずっと着物姿が板についているのも納得でした。もちろん着替えもご自分で「ずいぶん久しぶりに着るから〜」とおっしゃってましたがササッと着られて、これまたかっこいい〜!

 着物が板についてるかついてないかって、どこの国の人だからじゃなくて、着た回数なんだなと。民族衣裳だから、わたしたち日本人に似合うけれども、それと「着こなし」は別ものなんだなと。

 スーツの時とスイッチを切り替えて、つぎつぎと着物姿がカッコよく見えるポージングをカメラのまえで繰り出すクロフォードさんに、仕事を忘れかけてキャーキャー言ってしまったワタシたちでした(笑)。シンポジウムは当日参加もOKだそうなので、興味のある方はぜひおでかけ下さい!

 着物を着たら背筋を伸ばして、そういわれると胸を張る人が多いのですが、私はむしろ「腰を立てる」ではないかと思っています。帯を締めると洋服のように腰を曲げて猫背で座るようなことはできません。クっと腰を立てると背筋もしゃんとします。あとはスマホを見るような前肩をストン、と後ろに流すとムリに胸を張らなくても流れるような綺麗な姿勢になります。胸を張ると肩もいかってしまうので、ちょっと違う気がするのですよね。

 まあ、急に着物が板についたり、着こなしがアップするということはないわけで、私もまだまだ全然なんですが、着物を着る回数を重ねるのと同時に「こう動いたらキレイ」とか「こう動いたらラク」ということを意識するとよいのだろうなと思います。

 立ち方座り方‥‥時代劇や日本舞踊など、写真だけではわからない、実際動いている着物姿の動画を見てイメトレをするのもひとつです。なんでも型を真似することから。洋服のときとはちょっと違った「着物の所作」を意識してスイッチを切り替えれば、着姿もぐんとアップすること間違いなしですよ〜!

補整がうまくいくと着付はとってもラクになる!の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 着物を着始めた頃、言われるがままにタオルを2本縫い付けてウエストに巻いていました。胸を押さえたり、ベストのようなものを着たり。

 太って見えるだけじゃない?とずっと思っていたけど、良く着るようになって補整がうまくいくと着付が楽だということに気がつきました。着崩れも断然しないし、体もラク。どうしてなのでしょうか?

 なぜ補整をするのか。その大前提は着物が平面でできている衣類だからです。洋服のように体の凹凸にあわせて型紙ができているわけではなく、平らな布を凸凹のある体に巻き付けていくわけですから、どうしてもシワになったりギャザーが寄ったり。体と布の間に空間ができると、そこから着崩れもします。

 なので、土台になるボディをなるべく凹凸がなく整えてあげると、着物は断然着やすくなるというわけです。でも、ただ凹んでいるところを埋めて行くとどんどん太ってしまう! スッキリと、しかもゆるやかで女性らしいラインは残しつつ、着付のしやすいボディにはならないものか? 

 そんなとき、たかはしきもの工房の補整グッズに出会いました。胸はつぶすのではなく、寄せてアップする。ウエストはちょい足しで、お腹はひきしめる。

 さらしやタオルなどでも補整はできるのですが、テクニックが必要。簡単にラクにできるグッズに目からウロコでした。補整さえきちんとできれば、着付の8割は上手くいったようなものと言われましたが、なるほど〜の目からウロコの連続でした。

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 5年前にいち利モールさんのイベントで女将の髙橋和江さんにお話をきいて肌着や補整への関心がぐっと深まったのですが、さらに工房の補整は進化しつづけています。

 先日そんな髙橋女将の補整術の本がついに出ました。手ほどき七緒永久保存版『「たかはしきもの工房」髙橋和江さんの十人十色の「補整」術』です(タイトルが長い!)。タイトル通り、いろんな体型の方に「どういう補整が必要か。そしてそれはどうしてなのか」という理論も教えてくれる本です。

 今まで補整なんて必要ないわ!と思っていた方にも、補整のよさをよく御存知の方にもぜひ手に取っていただきたい一冊です。私自身は、キレイに着付ができるということももちろんですが、補整をすると自分の体がラクなので続けています。

 体に食い込む腰紐、胸元をしめつける伊達締め‥‥キレイに着るにはきつく締めないとだめよと言われ、本当に嫌でした。でも、動くと崩れてしまうし‥‥。そんな悩みも、ウエストにしっかり補整を入れることで紐を締めても苦しくないし、胸元をきつく締めなくても、着物が体に添ってくれるので着崩れしにくくなりました。

 そして気になる下腹、ヒップ。年齢とともに気になる部分もキュっと引き締めることでスッキリ。ちょっと待って、引き締めたら苦しいんじゃないの!?と思ったアナタ、骨盤周りは引き締めても苦しくないどころか、腰骨が立ってすごくキモチいいんですよ! 裾よけを正しくつけると、姿勢もよくなって一石二鳥なんです。

 ゆるめるところと引き締めるところを間違えずに体にぴったり着物を添わせて布地で体を支えれば、楽で着崩れない着姿の完成です。補整入れる派入れない派はあると思うのですが、ちょい補整、一度入れてみては。または入れすぎ補整を抜いてみてはいかがでしょうか。

 来週から開催の「キモノEXPO」でも、補整講座があります。わにこも16日〜20日、たかはしきもの工房のブースでお手伝いしておりますよ。なぜ補整をするのか。補整のメリットを知って、自分の体型にあう補整を探しにいらしてください。

 キモノEXPOは他にもいろんな着物周りの「知りたい」に応える講座や、手作り小物の講座もたくさんありますよ。やっと過ごしやすい気候になってきた10月半ば。おキモノまわりの楽しみを見つけにきてね!

▼キモノEXPOはコチラから▼
https://www.ichiri.ne.jp/lp/1810_expo/

 

夏の小物をいっきに仕舞う☆衣替えの巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 秋の長雨,急に肌寒くなりましたね。もう絶対袷なんか着られる日がくる気がしないと思っていましたが、やっぱり季節は巡るのだなあと感心。

 こうなったら諦めて(何を)天気予報とにらめっこして、天気のよい日に帯締めと帯揚の入れ替えをしなくては〜〜と思っているわにこです(思ってるだけかよ!)。

 まだ少し暑い日もありそうですが、絽や麻の帯揚はもうおしまい。縮緬を使いたくなるまで、綸子などのすっきりとした帯揚で過ごします。

 インナーや着物は気温にあわせてまだまだ夏仕様だったり、単衣だったり‥‥ですが、小物から季節先取りのお洒落を楽しみましょう。逆に、夏に向かう5月後半からは小物に夏物を取り入れて、先取りを楽しみます。

 昨日にしがみつかないで、さらりと次の季節に進めたら、かっこいいですもんね。まあ現実は、なかなか衣替えもおっくうだったりするわけですが。。。

 浴衣や絽、紗など完全な夏の着物は、普段のものは6つに畳んで(イラスト参照)風呂敷につつんで、夏物と書いた押入れケースに入れてしまいます。

 帯締め帯揚も、夏のものは全部集めて、また使う季節まで風呂敷にくるんで同じケースに入れます。

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 帯揚は、すごく汗をかいたときにしたものなど、おしゃれ着用の洗剤で洗います。夏物は汗じみができやすいので、薄い色のものは特に気を使います。そうでないものも、さっとアイロンをかけてから仕舞っておくと次に出したときにとても気持ちがいい!

 私は帯揚を箪笥の引き出しに入れているので、そこに入れる大きさにたたんで風呂敷に包んでおいて、入れ替えの季節にそのままズボっと冬物と入れ替えます。これ結構快感♥

 一度、この帯締めと帯揚をまとめて箱に入れておいたんですが、箱に入れたこととどこにおいたかを引越し騒動でわからなくなってしまい、季節の小物が全部ない〜〜〜! と真っ青になったことが(笑)<あんまり笑い事じゃないという。。。

 それ以来、季節が終わったものは全部一カ所にまとめておくことを心がけています。小物がないと、本当に困るんだ!!と身に染みた出来事でした(そんなことばっかり)。今も、あーおちよ(妄想のお手伝いさん)が全部虫干しして箪笥の入れ替えしてくれないかな〜と積み上がった夏物とにらめっこしているわけですが‥‥。仕方ないので自分がお手伝いさんに変身してがんばりたいと思います。まあ〜わにこ奥様ったら、こんなところに染みをつけて! キレイにしておかなくては!! 来年の夏に見つかったら叱られちゃう! な〜んて(どんなプレイ)。

 A型のサガなのか、やるとなったらとことんやらないと気がすまないので、とりかかるまでに時間がかかるのが難点‥‥。日々の積み重ねがあるとらくちんなのはわかっているんですが。

 さあ、ため息をついてないで、雨があがったら衣替え。がんばれワタシ! がんばれみんな!(えっ!もう終わってる? 私だけですかっっ!

憧れの花嫁着物☆白無垢の下はどうなってるの?の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 ムシ暑い日もありますが、季節は確実に秋に遷り、いよいよ着物のオンシーズンがやってきますね。成人式や七五三の前撮りなどもシーズンです。記念写真の撮影着付のお仕事もしているのですが、人生の節目に和装で写真を残すって本当にいいなあ〜と、いつも思いながらお手伝いさせていただいています。

 節目に和装、の最高峰(?)といえば、やはり花嫁衣装でしょうか。着付もなかなか学ぶのが難しい分野ですが、先生に恵まれて、教えていただく機会を得ました。

 最初はおはしょりを作らない、裾を引く着付に戸惑いの嵐。着物自体もしっかりと重みがあり、扱いに四苦八苦でした。トルソーさんにブツブツいいながら練習につきあってもらい、次の段階でとにかく生身の人に着付けないと上達しないよ、ということで、お友達に練習台になってくれる人いませんか、既婚未婚年齢問わずで!と募集したら、あっという間にスケジュールびっしりになるくらい希望者が! なんという有難いことでしょう。

 でも、わっかるーっ! 私も着てみたいですもーん(笑) おかげさまで、いろんな体型の人身御‥‥いえ!花嫁様を着付させていただき、すっごく勉強になりました。そして、みんな違ってみんな美しいのです! スリムでも、グラマーでも、それぞれの魅力がふわっと浮かび上がるのですよね〜。着付させてもらいながら、うっとりしちゃうくらいなんです。ワクワクしてなんだか、子どものころ着せ替え人形で遊んだことを思い出したり。

 さてさて、着付の順番ですが、まずは肌襦袢を着てしっかり補整をして、襦袢を着用します。このとき、通常の2倍の長さのある伊達締めでぐるぐるに胴体を巻きます。次に「掛下」と呼ばれる振袖を着ます。比翼がついていて、裾に綿も入っているゴージャスなもので、普通の振袖とは違いおはしょりをつくらず、裾引きで着ます。これが難しい! そしてまた長い伊達締めでぐるぐる巻きに。

 帯は掛下帯。なるべく高い位置で文庫結びにします。これがまたとっても難しい! 帯締め帯揚げを結んだら、最後に抱え帯を丸帯の下線のところに結びます。

 後ろから見ると、これがまたリボンが2つあるようで本当に可愛い!! ぜーんぶ真っ白な、可愛らしい掛下姿は、ウエスト部分が高いので、腰の丸みもふわりと見えて、裾引きがまるでトレーンをひいたウエディングドレスみたいでほんとうにほんとうに美しくて可愛らしいのです。

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 だいたいモデルさんはこの段階で一番テンションがあがるような気がします。想像してみてください、裾の長い純白の大振袖。美しい地紋が絹の光沢で浮かび上がります。どんなきらびやかな色や模様のものよりも、美しい気がしてしまうのは私だけでしょうか。

 白無垢を着たことがあるという人でも、この掛下姿がどうだったかあんまり覚えてない〜と言います。私も覚えてない! 昔すぎるから? いやいや、着せ着けてもらっているときは、自分がどんな姿かあまりわかりませんものね。特に後ろは見えないし。だから、今回勉強して改めて、こうなってたんだ!と知りました。

 でも掛下姿は上に白無垢を羽織ってしまうので、ほとんど見えないんですよね〜! もったいな〜い!! この可愛らしい姿を見られるのは本来は夫となる人だけ、ということなのでしょうね〜。ふふふ。

 さてこの掛下の上に白無垢を羽織って、懐剣、筥迫、扇子を胸元に差して、花嫁姿のできあがりです。挙式のときは神様の前ということで、綿帽子か角隠しで髪を隠し、披露宴では外します。

 先週末、はじめて先生のヘルプの元、婚礼着付をさせていただきました。ドレスでの挙式だったので、和装での写真も残したいというお二人の後撮りです。白無垢と、色打掛2種というお着替えでの撮影。ご家族もいらして一緒に記念写真を撮ったり、サプライズで新婦の後輩たちが駆けつけたり、笑顔が溢れて、本当に幸せいっぱいおすそわけいただく撮影となりました。

 外に出て、お寺に御詣りして、公園で少し撮影もしたのですが、通りかかる方たちがニコニコとおめでとうと言ってくださって、いいわね、いいわねと老夫婦がずっと見学(笑)されていたり。なにより主役二人の笑顔が本当に素敵で。

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末永くお幸せに〜!!!\(^O^)/ 写真:昭和な家スタジオ

 いやあ〜ほんとうに婚礼衣装って、ものすごくスペシャルだなあ〜と改めて感じた一日でした。これからも技術を磨いて、美しくお着付できるようにがんばらなくちゃーと決意。あと、私ももう一度着たいなあ〜(えっ)。

 着物はファッション、好きなように着ていい、というときと、いろいろな決まりを守って儀式の中で纏うとき。それぞれに、よさがあります。人の手を借りて着る晴れ着は、着る人を主人公にしてくれる特別な装置のようにも感じられます。花嫁衣装の形や結び。それにまつわる理由やいわれがそれぞれあり、幸せになりますようにという祈りが込められています。そしてそれは特別な日の為だけ。だからこそ美しく、心にも残るのでしょうね。

帯締めクロスで帯まわりを遊ぶ☆の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

 台風や地震で落ち着かない秋の始まり‥‥被害にあわれている皆様に心よりお見舞い申し上げます。小さなことですが私の田舎でも台風21号で敷地で倒木があり、道路の邪魔になっていると連絡がありました。片付けも終わらぬうちに次の台風の予報にやきもきしたり、心が休まりませんが、災害への備えを改めて考えさせられます。

 永遠に続きそうだった暑さも一段落で、そろそろ衣替え。着物が楽しい季節がやってきますね。このごろ気になっているのが帯締めのクロス使い。大きめのベルトのバックルのような帯留に帯締めをクロスさせているキモトモがいて、素敵だったので早速マネしてみました。

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 普通の帯留に細い帯締めを2本通してみたら、三分紐1本使いよりぐっと表情が出て楽しい!
 
 大きめの帯留はもちろん、普通のものでも帯締めを2本通せるような金具の帯締めやブローチなど、たのしめるものは結構ありました。金具の足が2本あるものは片方づつ違う帯締めを使っても楽しめます。

 帯締めはどの色にしようかな〜って決めかねる時もあるのですが、そんな時は2本選んじゃえばいいんだ!って欲張りですか?

 最近の帯留は、結構大きいものが多くて、へたすると帯締めが迫力負けしてしまうものもあったりするので、どーんとインパクト大にしたいときなど使えるワザです。

 無地や大人しい帯も、賑やかに変身できます。コーディネートがちょっと物足りないなと思われたとき、ぜひチャレンジしてみていただきたいテクニックです!

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 これが、細めの帯締めをクロスさせて遊んでみたときです。そして実は、帯揚はスカーフ、帯はつけ帯、浴衣をうそつき衿で着物風に着ているといういろいろなフェイクコーデでもあります(笑)。

 オーソドックスなコーディネートも大好きですが、要素をプラスして盛っていくおしゃれも楽しいものです! あとらくちんに手抜きして着るのも、楽しいです(笑)。以前はとてもルールにこだわったり、そういうものでしょ、という思い込みが私にはありました。でも、こだわりなくファッションとして楽しむキモトモがいっぱいできて、目からウロコがいっぱい落ちてます。まだまだ、弾けきれない中途半端な部分はありますが(笑)。

 なんでもそうかもしれませんが、自分で枠にはまってしまうと、楽しくないこといっぱいあります。着物もおしゃれ、絶対こうでなくてはならないという決まりはありません。ちょっと面白いなと思ったり、あら素敵と思ったらどんどん取り入れてみませんか。新しい自分が見えてくるかもですよ。

うさぎさんの単衣でお月見妄想コーデ☆の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 9月になり少し過ごしやすくなったかな、と思ったのも束の間の大型台風、皆様大丈夫でしたでしょうか。まだまだ蒸し暑い日が続きそうですが、気持ちだけは秋に向けて、おしゃれを楽しみたいもの。

 今回は、素敵な十日町紬の兎の反物を発見! 早速試着室でコーディネートしてみました。

 新潟県の十日町は豪雪地帯で、冬の間の生業として織物の技術が発展してきました。現在も着物の一大産地として知られています。そんな十日町で織られている先染めの紬ですが、格子や縞だけでなく、こういった凝った柄も一寸の狂いも許さない職人技で生み出されています。

 色がシックなので、さりげなく、でも可愛くお洒落なほどよさがたまりません。筆を持って○を書いていますが、○がお月様のようでもあり、うさぎさん自身が筆で描かれた絵のようでもあり。鳥獣戯画ファンにもぐっときそうな図案ですね。

 今回は麻の帯をあわせてみました。丸くぼかしが入っていて、遠くから観ると夜空に浮かぶお月様のよう。鈴虫の声が聞こえてきそうです。

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 半衿や帯揚・帯締めは少し抑えた秋の色を選んでみました。単衣の時期は本当に短く、さらに初夏と秋とそれぞれをイメージさせる色柄で、おでかけ予定と気温や天気を見て‥‥となると本当に一年に一度着られるかどうか、ということも少なくありません。とても贅沢ですが、でも、それがまた楽しみでもあるのですよね。

 ああ、秋にはこれを着よう。そんな1枚があることが、実際に着る着ないに関わらず、心の潤いなのかもしれません。妄想コーデも、心の潤い。今日もまたああでもないこうでもないと夢を膨らませる秋の夜長なのでした。

濃い色の襦袢で夏の着物を秋の風情に☆の巻 ~着物大好きコミックエッセイスト 星わにこ連載コラム「オトナの着物生活」~

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 暑い暑いといいつつも、立秋も過ぎて秋の気配も少しだけ感じられるようになってきましたね。そろそろ秋っぽい装いにしたいけど、でも暑い!! そんな時、透け感のある夏着物に、濃い色の襦袢をあわせるだけで、あら不思議。落ち着いた、秋の風情に変身します。

 濃い色の夏着物に白い襦袢をあわせると、透け感が際立って涼しげな印象ですが、透け感があまり感じられないだけで、同じ夏着物でもぐんと落ち着いて見えるのです。

 帯揚や帯締めを落ち着いたトーンに変えたり、帯留や帯飾りに季節のモチーフを取り入れたら、盛夏の着物から秋の風が吹いてくるようなコーディネートに早変わり。

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 着ているものは変わらないのに、秋っぽく見えるこのテクニック、「濃い色の夏の襦袢を入手する」という大きなハードルはありますが、効果抜群です。濃い色って具体的にどんな色よ! ということですが、あまり彩度の高い色よりは、濃いめのグレーなどが万能です。真っ黒も「えっ」と思われるかもしれませんが、カッコイイんですよ〜。

 でも実際、濃い色の夏の襦袢、あまり見かけませんよね。そんな時はちょっと古くなった襦袢を染めてしまうのもアリなんです。麻の襦袢でしたら、ダイロンなどの化学染料で染めて、色止めをすればOK。絹ものは縮んでしまうので難しいですが、麻は大丈夫! ポリエステルは染まりません。素材と染め上がりについては、どんなものでもうまくいくというわけではありませんので、よく調べてからトライしてみてくださいね!(^^;)。

 私も、実家の箪笥で発掘したちょっとシミが浮いていた麻の襦袢を思い切って鈍色(グレー)に染めてみようと計画中。9月に単衣代わりに夏着物+鈍色襦袢でコーディネートしてみたいと今からワクワクです。またご報告しますね〜!

 ダイロンで染めちゃうといえば、浴衣や麻着物を違う色に染め変えてみたこともあるわたしですが、先日、友人が2、3シーズン着てちょっと衿がスレて白くなったり、焼けが出てきた麻や綿麻の着物はダイロンで染めると新品のように生き返る!と教えてくれました。わたしも、今年着倒した黒の浴衣を染めてみようかと計画中。

 カジュアル着物は自分でいろいろトライして楽しみたい! 秋の気配に、おしゃれ心が盛り返してきたきょうこのごろ。ワードローブの見直しもしたいなあとあれこれ妄想膨らむわにこでした。

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